貴社は大量のデータをうまく活用できていますか?

いま起きていること

データの量が爆発的に増加しています。2020 年から 2025 年にかけて、世界のデータは 180 ゼタバイト(約 180 兆ギガバイト)を超えると予想されています。1 ゼタバイトはおよそ 2,500 億枚の DVD に相当します。

この急速な増加は、世界のデジタル化に伴うさまざまな要因の結果ですが、主たる原因は、IoT デバイスやその他のデジタル・ソリューションがプライベート空間とパブリック空間で急増していることです。

5G ネットワークは現在のワイヤレス通信の約 100 倍の速度で稼働し、1 平方キロメートルあたり最大 100 万台の IoT デバイスをサポート可能です。ビッグ・データとスマート製造の普及を特徴とするデジタル・トランスフォーメーションの新たな時代が到来しているのです。

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それが重要である理由

データは、メーカーの業務管理・改善能力を大幅に強化します。高度な製造技術の普及が進み、機械の継続的な監視と整備をリモートで行えるようになります。また、AI や予防保全を通じて、工場の現場を将来に対応させることができます。

データに基づくアプローチは、今後 30 年間にわたる持続可能性の目標達成にも不可欠です。たとえば、航空産業ではデジタル化とデータが脱炭素化に不可欠と考えられており、次世代の低炭素航空機テクノロジーの開発に貢献しています。

データの操作は、消費者と製品の関係さえも変えています。コネクテッド・デバイスは販売を変革し、デジタルで製品を継続的に更新し、改良し、サービスベースのビジネス・モデルを後押します。

しかし、このようなデータを効果的に活用するためには、まずデータを見つける必要があります。産業用データはサイロ化していて、さまざまな形式やセットで存在する場合があります。膨大な量の生データの整理、整形、標準化は、今後 10 年間の必須事項となります。

さらに、エッジ・コンピューティングなどの新しい計算手段も、すべての生データを処理するために必要となります。ダッソー・システムズのインダストリー・マーケット・インテリジェンス担当ディレクター、Sophie Proust は次のように述べています。「エッジ・コンピューティングは集中型サーバーの負担軽減に役立ちます。一部の計算を現場で実行し、複雑なタスクのみを集中管理されたクラウド・サーバーが受け持てば、システム全体の負担を軽減できます」

もちろん、安全保障と主権についても考慮する必要があります。Oliver Wyman の調査によると、西側世界のデータの 92% は米国を拠点とするデータ・センターに保存されています。データ革命のエネルギーを安全かつ効果的に活用するためには、これらすべてを考慮しなければなりません。

どのように備えるか

ノイズから信号を分離し、データの状況を明確に観察できることが、データ主導型の製造業になるための最優先事項です。3つの C を考慮しましょう。

1.   データを収集(Collect)し、アクセス可能で読み取り可能な状態にする。
2.   このデータを分類(Classify)して、使えるデータベース構造にする。
3.   単一の一元化されたプラットフォームにデータを統合(Consolidate)する。

業務データと製造データを統合し、関係者全員が容易にアクセスできるようにすることで、発見とコラボレーションを促進できます。新しい情報がそれぞれ新しいアイデアを創出し、それが新しい情報となるイノベーションの好循環を生み出します。

メーカーがこの状態になると、バリュー・チェーンのすべての段階に情報が行き渡ります。たとえば、TOYO TIRE は 3DEXPERIENCE® プラットフォームを使用して、複数の組織のサイロから関連する製品データを取得し、統合して一元化しました。そして、的を絞って解析を適用し、商品ライン全体で真のイノベーションを推進しました。

TOYO TIRE 株式会社デジタル・イノベーション推進本部副本部長大石克敏氏は言います。「設計する上では、過去の設計データや試験結果、シミュレーション結果、報告書などがとても重要です。3DEXPERIENCE® プラットフォームを活用することで、各種データの関連付けが可能になり、データの価値を高めることができています。設計の高度化・効率化につながると確信しています。」

私たちはすでにデータ革命の真っ只中にいます。製造業が IT の活用にどれほど成功するかで、今後数年間のイノベーションの成果が決まります。Google のチーフ・エコノミスト、Hal Varian 氏はこう主張しています。「データを扱う能力、つまりデータを理解し、処理し、そこから価値を引き出し、可視化し、それを伝える能力は、今後数十年で非常に重要なスキルになるでしょう」

「データはただ単に管理するだけではその価値は高まりません。データの関連性が重要であり、関連付けることではじめて、データの価値がさらに高まるのです」と大石氏は話します。TOYO TIRE株式会社デジタルイノベーション推進本部副本部長