KREOD社

KREOD社のミッションは、先進技術と自動化による、建築設計・開発のトランスフォーメーションです。 同社は、クラウド版3DEXPERIENCE®プラットフォームを採用してFrom Experience to ConstructionおよびIntegrated Built Environmentインダストリー・ソリューションにより、設計、エンジニアリング、ファブリケーション、施工を自動化するワークフローを開発しています。

建築のデジタル化、複数分野の一元化

世界人口が増加し続ける中、住宅不足が世界中でますます大きな問題となっています。すでに多くの地域で住宅需要が供給を上回り、この問題に取り組む革新的なソリューションを見い出すことが新たな緊急課題となっています。ロンドンを拠点とする受賞歴のある建築家Chun Qing Li氏など、業界をリードする専門家は、建築・建設業界における現状の建設アプローチを早急に変革する必要があると考えています。

建築設計、イノベーション、技術、施工を手がけるKREODグループ(英国)の創設者であるLi氏は、次のように述べています。「人口増加と気候変動が、世界中のあらゆる経済活動に影響を与えています。人口増加に対応するには、2050年までに5日ごとに1つの新しい市街地を構築する必要があります。同時に、循環型経済、カーボン・ニュートラル、ネット・ゼロに移行して、持続可能かつ住宅費負担の少ない街づくりを実現するために、住宅設計および施工を完全に見直す必要があります」

Li氏は、KREOD社を設立して、高度な技術と自動化により、建築設計および開発を次のレベルに引き上げています。建築・建設業界は、自動車産業や航空宇宙産業が遂げてきた進歩から発想を得て、この数十年来の設計、エンジニアリング、建築方法を綿密に再考する必要があると同氏は提唱しています。しかし、大量生産主導型の標準化された航空宇宙や自動車セクターとは異なり、建築・建設業界のプロジェクトは個別化、局地化、断片化されています。他の業界の手法を単にそのまま利用するのではなく、職能型の建築・建設を生産性の高い自動化にシフトさせるには、独自の道を歩む必要があるというのが、Li氏の認識です。

Li氏は次のように述べています。「非生産的で不正確かつリスクの高い、また無駄の多い労働集約的な旧態依然のワークフローが未だに使われています。マッキンゼーの調査によると、建設業界は、すべての業界の中で2番目にデジタル化が遅れており非生産であることが分かっています。建築・建設エコシステムの断片化および局地化に伴う課題に対処するために必要な技術がこれまで整備されていません。そして今、コスト削減の圧力が強まる中、建築業の合理化が求められています。このような状況に対処するより適切な方法があると私は考えています。持続可能性に関する規制やプロジェクトの複雑さが増す中、技術の進歩がイノベーションおよび有意義なトランスフォーメーションを後押ししています」

業界に求められているソリューションを独自に調査して、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォームにたどり着きました。航空宇宙産業や自動車・輸送業界において長年にわたって最高度なツールに位置付けられているプラットフォームにより、建築・建設業界を次のレベルに引き上げ、完全な自動化への移行を探究する絶好の機会がもたらされます。

KREOD社 - 建築設計 - ダッソー・システムズ®
Chun Qing Li氏、KREOD社創設者兼マネージング・ディレクター

接続型の生産性の高いワークフローへの移行

Li氏は、建築・建設業界に特化した技術を提供する、いくつかのアプリケーションを数年にわたって使用してきましたが、その多くが同氏のビジョンを実現するために必要な性能や機能を満たしていません。KREOD社に必要なのは、設計、エンジニアリング、シミュレーション、製造を一元化できる単一のプラットフォームでした。ダッソー・システムズのスタートアップ・プログラムは、Li氏がクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームを試す絶好のオファーでした。

Li氏は、次のように述べています。「ダッソーシ・システムズのツールを使用する最適な機会を利用できました。これにより、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォームが、業界に求められている機能を提供しているという確信を得ました。航空宇宙産業や自動車・輸送業界において長年にわたって最高度なツールに位置付けられているプラットフォームにより、建築・建設業界を次のレベルに引き上げ、完全な自動化への移行を探究する絶好の機会がもたらされます」

Li氏は、建築・建設サプライチェーンのすべての関係者が連携して、設計の課題を協力しながら解決し、最も生産的な方法で最高品質の建物を建設するという明白なビジョンを掲げています。

Li氏は、次のように述べています。「KREODの他社との違いは、デジタル環境を統合して変革をもたらすデジタル・マスター・ビルダーであることです。コンストラクション・バーチャル・ツインによる、構想から完成までの統合型の高度な連携的アプローチが、最善の設計と成果をもたします。3DEXPERIENCEプラットフォームが提供する単一のデジタル環境において、すべての設計、エンジニアリング、施工のタスクに取り組み、各専門分野がプロジェクト全体のコンテキストで連携できます。また、必要なすべてのツールを単一のプラットフォームで使用しながら、同じデジタル・モデルに基づいて共同作業できるため、ファイルをエクスポートする必要がなく、知的情報の漏洩や途中でエラーが生じるリスクを回避できます」

スタートアップを強力にサポート

スタートアップ企業であるKREOD社にとって、クラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームは、さまざまな面で合理的な選択でした。

Li氏は、次のように述べています。「極めて使いやすい強力な機能をクラウドで利用できます。サポート・インフラへの投資は一切不要です。また、エンタープライズ・レベルのITを利用できるだけでなく、グローバルなコラボレーションも可能です。世界中の関係会社やコンサルタントと提携して、ファイルやメールをやり取りすることなく、プラットフォームで連携できます。また、進行中のプロジェクトをプラットフォームで完全に可視化できます」

サリー州(英国)の保全地区における個人住宅の設計・建設は、KREOD社がクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームを使用した最初のプロジェクトの1つです。Li氏と同社のチームは、シームレスなスチールパネル壁システムによる外観を含む、コンテンポラリーな建物の細部に至るまで、すべての設計およびプロジェクト管理にCATIA ENOVIA を使用しています。

CATIAを初めて使用するLi氏は、この強力なCADソフトウェアの機能を現場で作業しながら習得しています。ダッソー・システムズは、同氏を緊密にサポートして専門知識を提供しています。

Li氏は、次のように述べています。「ダッソー・システムズの専任者と隔週のミーティングを行い、サポートを受けて課題を解決してもらいました。初めて使うプラットフォームでCATIAを極めて短期間に習得することができました。ダッソー・システムズのチームは非常に協力的で、トレーニングも行ってくれます。このプラットフォームから、IFWEループを利用して、別の業界のユーザーに専門的な質問を行って知識を得ることもできます。極めて優れたユーザー・エクスペリエンスとサポートにとても満足しています」

サリー州(英国)の保全地区における個人住宅の設計・建設(KREOD社がクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームを使用した最初のプロジェクトの1つ)。(Image © KREOD)

次世代建築ツールの開発

Li氏がダッソー・システムズの技術を習得する一方で、痛切に感じたのは業界におけるスキル・ギャップです。3DEXPERIENCEプラットフォームなどのソリューションを活用している建築家は、今のところほとんどいません。これが「プラットフォームで誰もが使用できる、よりシンプルなデジタル建築ソリューションを構築」するという同氏の意欲をかきたてました。

Li氏は、次のように述べています。「最新の技術がもたらす可能性を業界で認知してもらうために、KREOD Integrated Smart Solutions(KISS)を立ち上げました。これは、当社独自の開発プロセスを提供する、建築設計自動化アプリケーションおよび施工順序・管理ツールです。使いやすさを念頭に置いたこのツールにより、数回のクリックですべての建物情報、建材製造モデリング、製造コード、BOM(部品表)を取得できます。

KREOD Integrated Design for Manufacture and Assembly Intelligent Automation(KIDIA)は、建築設計、エンジニアリング、建材製造、施工、組立に対応するツールです。このジェネレーティブ・コンストラクション・モデリング・アプローチにより、すべての設計およびエンジニアリングのプロセスを同時に実行できます。同時並行設計とエンジニアリングのアプローチにより、建設プロジェクトの早期段階、特に建築計画全体の概要説明のために業界で一般的に使用されている「RIBA Plan of Work」の最初の4段階(ブリーフィング、コンセプト・デザイン、スぺ―シャル・コーディネーション、テクニカル・デザイン)が簡素化されます。

Li氏と同社のチームは、シームレスなスチールパネル壁システムによる外観を含む、コンテンポラリーな建物の細部に至るまで、すべての設計およびプロジェクト管理にCATIAとENOVIAを使用しています。(Image © KREOD)

Li氏は、次のように述べています。「設計の早期段階を最大90%短縮できます。また、すべての情報を建物の3Dモデルに組み込み、建物情報/製造コードおよび部品表を自動的に作成して、構想設計の段階で透明性のある正確なコストを見積もることができます通常、このような詳細な設計およびファブリケーションの情報パッケージを提供するには、経験豊富な熟練者でも2~3ヵ月要します。KIDIAは、コンピュータの処理能力にもよりますが、このような情報パッケージを数回クリックするだけで、わずか5分で提供できます」

Li氏は、DELMIAの製造シミュレーション機能をさらに活用する、組立順序ツールの開発も計画しています。

Li氏は次のように述べています。「シミュレーションにより、施工計画を正確に立案することが、このツールの目的です。これにより、徹底的なリスク分析を行い、必要な労務や気象条件などを考慮して、建物完成までの期間を特定できます。想定外のコストや遅延、コミュニケーション不足が暗黙のうちに認められている建設プロジェクトにおいて、現在は変動的かつリスクが高いとみなされている段階でのシミュレーションは、はるかに大きな透明性をもたらします。当社は、ロンドン北西部の公共住宅開発においてファブリケーションの段階を扱うシミュレーションにDELMIAを使用して、大きな成果を収めています」

モジュールによる持続可能な設計

現在、KREOD社はデジタル機能を強化して、英国全体にわたってオーダーメイドのセルフビルド住宅、公共住宅、ターンキー住宅の開発を進めています。これらは、建築コストの低減、持続可能な建築手法・資材の面において、真に有効な影響を社会にもたらします。

Li氏は、次のように述べています。「ニーズに合わせて追加または取り外すことができるモジュール・コンポーネントによる、常に進化し続ける住宅を想像してみてください。これにより、引っ越し、増築、改築にかかる費用を回避できます。まるでLEGOのブロックのように、プリファブ・モジュールを組み立てて住宅をカスタマイズできます。例えば、子供部屋を追加したり、不要になった部屋を取り外すなど、暮らしに合わせた住まいを実現できます。

3DEXPERIENCEプラットフォームで構築された同社の自動化工場製造建築システム-KREOD Aeronautics Building Systems(KABS)は、設計自動化、エンジニアリング、製造機能を一元化して、エンドツーエンドのターンキー・プレハブ住宅建築サービスを提供します。KABSは、CATIAおよびDELMIAによる鉄骨やパネルを含む建築部材の設計および製造により、施工を最適化します。

クラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームが、KREOD社チームのより迅速、より効率的、よりコスト効果の高い作業をサポート。(Image © KREOD)

Li氏は、次のように述べています。「当社は、資材の50%節減および工期半減を実現します。すべての製造情報を3D建築モデルに組み込み、機械による直接製造が可能な鉄骨およびパネルを設計しています。さらに、当社のKABSモジュラー鉄骨システムは、別のプロジェクトに再利用できます。

Li氏は、このアプローチが英国の住宅危機を持続可能な方法で解決する一助となることを望んでいます。

「当社の持続可能性ストラテジーは、リサイクルではなく再利用です。持続可能かつ再利用可能な資材である鋼材を使用することで、環境への影響を軽減すると同時に、建築部材を将来にわたって再利用できます。建物のほとんどをプリファブ化することで、現場における加工が不要となり、従来の工法に比べて廃棄物を90%削減できます。また、極めて早い段階ですべてのコストを正確に見積もることができるため、固定価格による建築ターンキー契約を提供でき、コスト超過も回避できます

」とLi氏は述べて、次のように結論付けています。

「当社はあらゆる面でレベルアップしています。クラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームによる業界をリードする技術を活用して、より迅速、より効率的、よりコスト効果の高い建築・建設を実現しています。当社は、コスト削減を推進しながら、創造力を高めて、イノベーションの限界を押し広げています。また、高品質な住宅を低コストで建設するだけでなく、業界変革の一助を担っています」

KREOD - ロゴ - ダッソー・システムズ®

KREODについて

KREOD社は、複数分野を一元化して建築設計、イノベーション、技術、開発を先駆している、先見性に富んだ企業です。同社は、建築・建設業界に変革をもたらすKREOD Integrated Design for Manufacture and Assembly Intelligent Automation(KIDIA)アプリケーション/ソフトウェアを開発している、デジタル・マスター・ビルダーです。Chun Qing Li氏によって2012年に設立されたロンドンを拠点とする同社では、多様な文化・教育・地理的バックグラウンドを有するチーム・メンバーが、非常にダイナミックかつプロフェッショナルな環境で活躍しています。

詳細情報: www.kreod.com