Assembly OSM社

米国拠点の同社のミッションは、「ポストモジュラー」アプローチによる、建設のトランスフォーメーションです。これは技術的に高度なプロセスであり、建築面で特徴性のある高層ビルのデジタル設計、モジュール製造、組み立て、現場設置が含まれます。同社は、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE CloudプラットフォームおよびFrom Experience to Constructionインダストリー・ソリューション・エクスペリエンスにより、プロジェクト関係者が建設ノウハウを仮想化して、単能工ベースの設置から多能工のためのエンジニアリングおよび組み立てへの移行を実現しています。

建設の現状

Freddie Macの報告によると、米国において潜在的な住宅購入需要に対して、400万戸近くの不足が生じています。資材コストの高騰により、この問題がさらに深刻化しており、2021年6月から2022年6月の間に住宅購入価格が18%上昇しています。Forbesは、これを「住宅市場の崩壊」と称しています。

建設に対する従来のアプローチは、もはや目的に適していません。工場で建物をプリファブ化するモジュール建築提供企業の新たな潮流が、より安価かつ迅速な建築プロセスによる解決策を提供していますが、このアプローチだけではまだ不十分というのがAssembly OSM社のCEO、Andrew Staniforth氏の考えです。

「現在、この業界は、いくつかの極めて大きな問題点を抱えています。人口密度の高い都市部では、建物を埋立地に建設する必要があります。これには、複雑なゾーニング(区画)や行政に対処する必要が伴います。ニューヨーク市では、既存の建物設計手法を適用するだけでは不十分です。残念ながら、モジュール企業の多くが、このことを認識できていません。」(Staniforth氏)

Staniforth氏は、これに対応する、はるかに優れたアプローチがあると述べています。「当社の方法は、他とは異なります。都市環境向けのカスタム・ビル(一般的には高層ビル)を建設してる当社は、この方法を「モジュール2.0」または「ポストモジュール」と呼んでいます。」

同社のチームは、無限の組み合わにより、単一のプラットフォームに適合できる、コンポーネントとサブアセンブリーを設計しています。すべての要素を高性能かつ高度に自動化されたモジュール製造および組み立て工程用に特別に設計して、極めて優れた公差および高レベルな品質を達成しています。

Assembly OSM社は、コンポーネントの開発において、無限数の組み合わせをプラットフォームに表示できます。(Image © Assembly OSM)

その他の業界のパイオニアから学ぶ

Assembly OSM社は、自動車や航空宇宙産業のリーダー企業のオペレーション方法からヒントを得ています。実際、同社の創業者はボーイング社、スペースX社、テスラ社のアドバイザーと緊密に連携してモジュラー戦略の詳細な調整を行っています。Assembly OSM社が3Dデジタル・ツインを使用して建物を設計後、同社のサプライチェーンがコンポーネントをモジュール製造しています。また、Assembly OSM社が製品を組み立て、同社のゼネコン・パートナーが現場で「設置」しています。

「当社の重要な差別化要因のひとつは、各プロセスを自社および他社に分担していることです。当社は、分散型製造エコシステムを活用しています。このアプローチは、従来のモジュール化の試みに固有の多くの問題を解決します。-- すべてを同じ拠点で行うと、何らかの障害がひとたび発生すると、すべてがストップします。当社は、これを回避しています。」(Staniforth氏)

同社は、このオペレーション方法により、プロジェクトの期間を最大50%短縮して、一般的には予測できない建設の問題点も軽減できること示しています。しかし、分散型アプローチは、リスクの高い戦略ともいえます。

「このアプローチを成功させる唯一の方法は、各可動部品を100%正確に制御してそれを保証することです。建設で使用されている標準的なソフトウェア・ツールでは不十分というのが当社の見解です。」(Staniforth氏)

Assembly OSM社に必要なのは、より優れた制御レベルです。「ボーイング社が航空機のモデル化に採用しているのと同じように、[より信頼性の高い調達ができる]、より高レベルの忠実度によるモデル化が必要です。これが、多くの場合、航空宇宙産業において使用されいるダッソー・システムズの3DEXPERIENCE®アプリケーションを採用した理由です。これには、CATIA およびENOVIAが含まれています。」(Staniforth氏)

このソリューションにより、Staniforth氏のチームは必要な制御レベルを獲得しています。「3DEXPERIENCEプラットフォームは、建設では通常想定されていないレベルの精度を実現します。これにより、モジュール製品を設計どおりに制作して、想定どおりの性能レベルを達成できます。」

Assembly OSM社は、3DEXPERIENCE Cloudプラットフォームにより、最終的なモジュール製品を設計どおりの外観で制作できることに確信を得ています。(Image © Assembly OSM)

成功をもたらすプラットフォーム

Neil Meredith氏(Assembly OSM社、デジタル・デリバリー担当ディレクター)は、3DEXPERIENCE Cloud プラットフォームを同社が利用できる最も信頼性の高いプラットフォームと考えています。「当社は、このプラットフォームを複数のサプライヤーとの連携に使用しています。設計を4つの組み立て構成モデルに分解して、単一のプラットフォームにより、さまざまな異なるコンテキストでこれらのモデルを使用できます。これは、大きな価値をもたらします。」(Neil Meredith氏)

Assembly OSM社は、ダッソー・システムズのビジネスパートナーであるCadMakers社の支援により、このソリューションを導入しました。「CadMakers社のサポートは、当社の成功に不可欠です。当社チームの拡張に合わせて、貴重なコンサルティング・サービスとサポートを提供してくれます。」(Meredith氏)

「この分野で成功するには、連携が必要です。CadMakers社は、この点に関して真のパートナーです。私たちは同じ目的を目指す、ひとつのチームであるという意識を極めて明確に実感しています。」(Staniforth氏)

Assembly OSMのチームは、オンプレミスの3DEXPERIENCEではなく、クラウド版を選択しました。「当社のビジネスは分散型であるため、クラウドがはるかに理にかなっています。「世界中のサプライヤーとの連携が必要です。前例のない早さでプロジェクトを立ち上げて実行しています。特にライセンス管理が非常に容易なことに驚いています。非常に素早くプロジェクトに人員を追加でき、必要であれば、その場で直ぐ変更することも可能です。」(Meredith氏)

[3DEXPERIENCEプラットフォーム]は、当社のビジネス・モデルと非常に密接に統合されています。実際、ほとんど切り離せない関係になっていると思います。従来のモジュール建築では実現できなかったレジリエンスとカスタマイズを達成しています。

Assembly OSM - Andrew Staniforth - ダッソー・システムズ
Andrew Staniforth氏
Assembly OSM社、CEO

デジタル連続性による強化

Assembly OSMのチームにとって、デジタル連続性は重要な側面です。これが3DEXPERIENCE Cloudプラットフォーム独自のセールス・ポイントの1つであることは明らかです。「設計からモジュール製造までのプロセス全体をすべてプラットフォームで一元化することで、従来の納品プロセスでは不可能だったさまざまなことを実現しています。」(Staniforth氏)

プロセスをプラットフォームに取り込むことで、より優越な連携環境がもたらされています。「ENOVIAにより、プラットフォームでの意思決定を推進しています。以前の取り組みでは、スクリーンショットで静止画を撮ってスプレッド・シートで管理していました。設計レビューをネイティブの設計ツールに移行したことにより、例えば、要求された変更が実行されていることをすぐに確認できます。つまり、複数の異なるソリューションによる分断化された作業ではなく、全員が実際のソース・ジオメトリ-形状を使って連携作業を行っています。」(Staniforth氏)

この一元型アプローチは、分散型の環境における作業の場合、特に有効です。「当社は、製品情報を一元管理して、プロセスのすべての関係者がプッシュ・プルを行っています。オペレーションのデジタル・ツインの技術的な作成はまだですが、これはデジタル・ツインの一種であり、細部に至るまで必要な情報を全員に提供する制作レベルのモデルです。」(Staniforth氏)

制作レベルのモデルのテンプレート化は、時間を節約してコストを削減する、さらなるメリットをもたらします。「当社は、建物を一連のモジュール製品またはサブアセンブリーに分割しています。例えば、構造フレームやファサードです。それぞれが特定の構成ですが、ある程度の範囲で柔軟性を許容する必要があります。例えば4本の柱と6本の柱フレームのエンジニアリング・テンプレートを使うことで、ゼロから開始する必要がなくなり、テンプレートのバリエーションを素早く作成できます。」(Meredith氏)

これは、Assembly OSM社の取り組みが、プロダクト化に留まっていないことを意味します。「プロセスをプロダクト化するだけでなく、CATIAにより、より多くのカスタマイズを達成しています。一般的なプロダクト化には個別のオプションがありますが、当社が行っているのは、より連続的なオプションのスペクトルを構築することです。これをパラメーターに基づいて行うことができます。」(Staniforth氏)

「このアプローチにより、製造可能性とカスタマイズのギャップを埋めることができています。当社と同じ分野の他の多くの企業が、これを解決できていません。」(Meredith氏)

ほぼ無限のオプションを容易に提供するには、大規模なデータ・セットを管理できるプラットフォームが必要です。「これが競合する多くのモデリング・プラットフォームの制約となっていますが、CATIAをプラットフォームで使用することで、大規模なデータ・セットを実に容易に管理できます。」(Meredith氏)

ほぼ無限のオプションを容易に提供するには、競合する多くのモデリング・アプリの制約となっている大規模データ・セットを管理できる、3DEXPERIENCEプラットフォームのようなソリューションが必要です。(Image © Assembly OSM)

建築が果たす責任

建設会社がより持続可能なモジュール製品を提供する圧力に直面している現状において、正確な性能の重要性を過小評価することはできません。

「二酸化炭素排出全体の40%が建築環境で発生しているため、より適切な建築が私たちの責任であることをまさに確信しています。3DEXPERIENCEプラットフォームのツールにより、当社が担当するすべての建物に高忠実度の部品表を作成して、さまざまな資材をすべて分解することができます。これらの資材を把握して、環境への影響を極めて早期段階で数値化できます。」(Staniforth氏)

すべての部品およびコンポーネントに関する詳細な情報により、Staniforth氏、Meredith氏およびチームは、例えばモジュール製品に含まれる内包二酸化炭素の量を分析して、サプライヤー・ネットワークによる持続可能性への影響に結び付けています。これにより、Assembly OSM社は、建物から大半のコンクリートを排除しています。「非常に炭素集約型であるコンクリートを減らすことで、内包二酸化炭素を大幅に削減できます。」(Staniforth氏)

より適切な管理および視点をオペレーションに導入することが、同社の極めて無駄のないモジュール製造プロセスの維持にも役立てられています。「建設プロセスとは対照的に、当社はモジュール製造の観点から建物に取り組むことで、廃棄物を大幅に削減しています。」(Staniforth氏)

さらに、Assembly OSM社は、排出ガス削減にも大きな進展をもたらしています。「従来の建設に比べ、現場へのトラック輸送による搬入数を大幅に減らしています。これは、モジュール製造と階層化された生産システムの厳格な管理による成果です。」(Meredith氏)

モジュール建築の最大のメリットのひとつは、分解および再利用が容易なことです。「当社の建築は、建物解体用の鉄球で壊す必要がありません。ボリュメトリック・パネル化システムを解体して再利用できます。廃棄物はほとんど発生しません。」(Staniforth氏)

Assembly OSM社は、プラットフォームのツールにより、さまざまな資材が環境に及ぼす影響を特定してコンクリートの削減に役立てています。(Image © Assembly OSM)

規模の拡大

Staniforth氏は、3DEXPERIENCE Cloudプラットフォームによる、これまでの成果を高く評価しています。「全体的には、3DEXPERIENCE プラットフォームは、当社の非常に特殊な問題点を解決しています。これは、サプライヤーとの連携やモジュール製品の管理方法など、当社のオペレーションの根幹に結び付いています。このプラットフォームは当社のビジネス・モデルと非常に密接に統合されています。実際、ほとんど切り離せない関係になっていると思います。従来のモジュール建築では実現できなかったレジリエンスとカスタマイズを達成しています。

「さまざまな市場において極めて迅速な規模の拡大を目指しています。つまり、チームの拡大と足並みをそろえて、3DEXPERIENCEも拡張していきます。どのような展開になるのか、とても楽しみです。」

Assembly OSM社について

同社は、建築面で特徴性のある高層ビルのデジタル設計、モジュール製造、組み立て、現場設置を含む、技術的に高度なプロセスを提供しています。この「ポストモジュール」アプローチにより、同社は従来のプロジェクトと比較して、完成までの期間を大幅に短縮し、コスト効果およびスケジュールの確実性を飛躍的に向上させています。

 

詳細情報:https://assemblyosm.com/

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CadMakers社について

CadMakers社は、建築、エンジニアリングおよび建設のリーダー企業と提携して、よりスマートな建築を実現する、広範囲の仮想設計および建築(VDC)サービスを提供しています。同社が提供しているサービスには、サードパーティによる建築設計および調整のレビュー、建築可能性分析、仮想設計および建築の実装フレームワークとプロトコル、機械的プレハブ化の実現、コンクリートの詳細パッケージ、施工図の作成などがあります。

収益: 非公開
本社: カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー

詳細情報:www.cadmakers.com