PowerFLOW:車室内の快適性

 

対象の業界:自動車、モータースポーツ、商用車、オフハイウェイ機器、鉄道車両、航空宇宙

 

ドライバーと乗員の快適性レベルを適切に保つことは、重要な設計目標です。これは、自動車、トラック、オフロード車両、鉄道車両、航空機など、あらゆる交通手段に当てはまります。HVACによる空調制御は、強い影響力を持ち一目置かれているJ.D. Power and AssociatesのAPEAL調査でも重要な要素となっています。車室内のウォームアップおよびクーリングダウン時間は主要な設計要件であるだけでなく、多くの場合、規制されています。ブランドのグローバリゼーションを進めるということは、車両がより幅広い環境条件内で動作するように設計する必要があることを意味します。気温が非常に高い/低い、日射が強い、場合によってはエンジンに大きな負荷がかかる極限気候である、といったケースが考えられます。車両の電動化により、HVACシステムの設計における効率性の要件が追加されました。

車室内の設計では乗員の快適性要件を満たすことが非常に重要ですが、HVACシステムを有効にすることで燃費が10パーセントも低下してしまうため、総合的な燃費については空調制御システム全体の効率性が不可欠になります。

設計サイクルの初期段階で車室内の熱性能に対処することは、乗員の快適性と優れた燃費に関する主要なビジネス目標を達成するうえで重要です。

技術面での課題

従来、車室内の快適性の評価は物理プロトタイプのテストに大きく依存していました。物理テストには非常にコストと時間がかかり、柔軟性に欠けています。日射は重要な要素ですが、環境風洞で再現するには制限があります。また、表面および流体の温度を測定するだけでは不十分です。乗客の快適性は、温度、熱伝達率、気流速度、衣服、体格、体重、その他の要因から構成される、複雑な生理的機能です。物理テストの場合、そうした評価は非常に主観的なものになります。

 

SIMULIAソリューション

PowerFLOWスイートは、車室内の快適性に関する問題への対処に理想的です。PowerFLOWは、独自の本質的に非定常な格子ボルツマン法に基づく物理解析により、極めて複雑な形状でも実世界での非定常条件を正確に予測できます。大規模な乱流を解析することで、熱伝導率を正確に予測できます。PowerTHERMは、完全連成型で精度の高い、非定常の熱伝導および熱ふく射ソルバーです。日射およびクラス最高かつ独自の人体快適性生理モデルのモデリングのための高度な機能を備えています。PowerFLOWとPowerTHERMを併用することで、長期間に及ぶ車室内の気温を正確に予測し、ウォームアップおよびクーリングダウン時間を計算し、車室内全体の流れ場および温度場を視覚化できるようになります。これによって問題のある領域を特定できるだけでなく、設計サイクルの初期段階で問題を排除するための設計に関する推奨事項を提示することもできます。モデルの設定、シミュレーション、視覚化、設計の修正に必要な時間が短縮するため、ベースラインに設計変更を迅速に加え、車室内の快適性の改善を評価できます。

車室内の快適性の解析のためのSIMULIAシミュレーションにより、以下が可能になります。

  • 車室内の温度分布を評価する。
  • 乗客の快適性レベルを評価する。
  • 車室内のHVACの流れを最適化する。
  • ウォームアップおよびクーリングダウン時間を制御する。
  • HVACシステムの性能が最適になるように調整する。
  • プロトタイプ作成のかなり前の段階でシステムの性能を予測する。