BIOVIA COSMOplex

自己組織化系および生体膜の効率的な処理

BIOVIA COSMOplex では、不均質系の領域まで COSMO-RS を拡張した独自の手法により、物理化学特性にアクセスできます。COSMOplex はこのアプローチにより、通常は分子動力学(MD)を使用して得られる結果を導き出します。ただしほとんどコストがかかりません。COSMOplex は、量子力学的 DFT 計算から液体の熱力学的挙動を導き出す COSMO-RS 理論をベースにしています。

導入効果

  • BIOVIA COSMOplex は MD シミュレーションよりも最大 10,000 倍高速
  • ミセル、マイクロエマルション、膜の特性の力学的予測
  • 追加でパラメータを調整する必要なし
不均質な系を COSMO-RS の層に分割して、溶質の局所的な自由エネルギーの力学的計算に対応
ミセルにおける自己矛盾のない界面活性剤分布
非イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度(実験と予測を比較)

主な機能

  • 外部入力なしで分子の一貫した自己集合を完了
  • 中性種およびイオン種の分布
  • 界面および表面(界面および表面張力(IFT)など)
  • 臨界ミセル濃度(CMC)
  • マイクロエマルション(フィッシュ・ポイント、アルキル炭素数との等価性(EACN)など)
  • BIOVIA COSMOperm モジュールのインプットとしての生体膜: 分配係数 log P (膜/水) と pH 依存性生体膜の透過性

ミセル

  • 純粋な界面活性剤化合物の臨界ミセル濃度を計算でき、結果は実験と良く一致します。化合物の混合も可能です。
  • Cosmo-RS から得られる化学ポテンシャルと原子圧力を組み合わせることで、界面活性剤分子が特定の形状(球状、円筒形など)で平衡に達するまで、シミュレーション・ボックス内に分配されます。

界面と表面

  • 不均質系のシミュレートが可能なため、COSMOplex は、液/液または気/液界面における濃度プロファイルおよび平均的な分子配向も予測できます。界面の内圧プロファイルが界面エネルギーと直接関連付けられます。追加の相関関数を適用すると、2 つの液体混合物間の界面張力を簡単に予測できます。複雑な液体、および界面活性剤を含む液体にも対応可能です。

マイクロエマルション

  • BIOVIA COSMOplex では、マイクロエマルション系などが含まれる界面活性剤を処理することができます。たとえば、マイクロエマルション系の油相、界面活性剤相、水相の一貫した自己形成などを COSMOplex でシミュレートできます。この方法により、断面積や複雑なフィッシュ・ポイント図も計算可能です。
  • 多数の位置、配向、配座異性体を系統的に計算して、確率分布を導き出すため、マイクロエマルション成分の自由エネルギー・プロファイルを得られます。

生体膜

  • BIOVIA COSMOSplex では、リン脂質などで構成される生体膜構造をコンピュータ内で生成できます。Cosmo-RS から得られる化学ポテンシャルと原子圧力を組み合わせることで、リン脂質分子が平衡に達するまで、シミュレーション・ボックス内に分配されます。BIOVIA COSMOperm モジュールでは、これらの生体膜の溶質特性(拡散定数、自由エネルギー、分配係数など)の予測が可能です。

理論

  • COSMOSplex 手法の詳細は、オープン・アクセスで入手可能な、以下の査読付き出版物に掲載されています。
  • Klamt, A.; Schwöbel, J.; Huniar, U.; Koch, L.; Terzi, S.; Gaudin, T.COSMOplex: Self-Consistent Simulation of Self-Organizing Inhomogeneous Systems Based on COSMO-RS.Phys.Chem.Chem.Phys.2019, 21 (18), 9225–9238. https://doi.org/10.1039/C9CP01169B.