放射線治療室をバーチャル空間上に再現、治療に臨む患者の心理的負荷を減らす共同プロジェクトをダッソー・システムズとフランスの医療機関が推進

  • 放射線治療を受ける患者が安心して治療に臨めるように、VR(仮想現実)を使った治療の疑似体験を可能にするべく企業と医療機関が共同で取り組むプロジェクト
  • 治療室の室内や設備、治療の流れを没入型バーチャルツインで再現、がん患者は治療前に心の準備をできるように
  • ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE Labが技術面と機器面でプロジェクトを支援

※本リリースは、仏ヴェリジー=ヴィラクブレーにて現地時間2022年6月2日に発表したリリースの日本語参考訳です。

ダッソー・システムズH. HARTMANN Institute(ELSANグループのフランス初の民間放射線治療センター)、Rafaël Institute(フランスの統合医療の専門機関)の3者は共同で、このほどVORTHExプロジェクトを立ち上げたことを発表しました。VORTHExプロジェクトとは、放射線治療室全体をバーチャル空間上に再現し、VR(仮想現実)技術によって患者が放射線治療を疑似体験できるような、一種の「3Dシミュレーター」を構築するプロジェクトです。闘病中のがん患者は、治療室の室内や設備、治療の流れなどをVR体験を通じて理解し、より安心して実際の放射線治療に臨むことができます。

VORTHExプロジェクトは、放射線治療と放射線外科を専門とするH. HARTMANN Instituteに新設された治療室を、バーチャルツインとして再現しています。H. HARTMANN Instituteは、仏ルヴァロワ=ペレのフランコ・ブリタニック病院に近接し、アキュレイ社のサイバーナイフ・ロボットを装備しています。本プロジェクトでは、3Dシミュレーションにより、H. HARTMANN Instituteの治療室やサイバーナイフ・ロボットのアーム、そこで治療を受ける患者の姿勢、治療の手順など、技術的・医療的観点からほぼ正確に再現しています。こうしたバーチャル治療体験はH. HARTMANN Instituteの医療チームの医師が監督し、同チームが最初から最後まで患者に付き添います。またこのバーチャル治療体験は、患者の治療計画に容易に組み込むことができます。

がんはフランス国内だけでも年間約40万件もの症例があり、その60%が放射線治療を必要とします。放射線治療は近年、効率の点でも精度の点でも大きく進歩していますが、それでも病気で衰弱した患者にとって放射線治療室は気の滅入る場所になりがちです。治療室で行われる処置やその医学的な説明、治療台の上に横たわるという現実などがそのまま、患者の心理的負荷を上げることがあります。そうした負担を軽くすることは、患者が病を乗り越える上で重要な役割を果たします。今回発表したVORTHExプロジェクトは、治療現場や医療機器に慣れ親しんでもらうことで患者の不安感を軽減し、放射線治療に関する理解を深めてもらうことを目的としています。 以下に、VORTHExプロジェクトを体験した患者のコメントをご紹介します。

「このバーチャル治療体験は、実際の現場を緻密に再現している上に、非常に興味深く、私たちの治療計画に役立っています。医師の方々は放射線治療について説明してくださいますが、聞き洩らしてしまうことも多いのです。しかし、このバーチャル体験で説明が視覚化されることで、すべてを理解できます。『百聞は一見に如かず』とは、まさにこのことです。これから何が起こるか分からないでいるより、知っているに越したことはありません」 - 患者 クリスチャン. Eさんの体験談


「これは本当に驚くべき体験です。バーチャル空間に潜り込むことができ、そこは理想的かつ快適なだけでなく、分かり易く正確で、素晴らしい出来栄えでした。治療に臨む上で、安心感を得られることは私にとっては大事なことです。この体験を通して、自分たちが何を乗り越えていくのか理解することができます」 - 患者 マーク. Nさんの体験談


「放射線治療が心配だったのですが、この体験のおかげで客観的にとらえることができ、心の準備をして、安心感を得ることができました。このバーチャル治療は、さらに詳しい情報を提供するだけでなく、想定外の疑問にも対応し、普段の診察を補完する役割を果たします」 - 患者 アラン. Aさんの体験談

放射線治療という先進治療と患者のニーズに合わせた個別ケアを組み合わせるという統合的なアプローチをとるために、H. HARTMANN InstituteはRafaël Instituteと提携しました。ダッソー・システムズはVORTHExプロジェクトのために、3DEXPERIENCE Labから技術的な専門知識と没入体験に必要なVR機器を提供しました。3DEXPERIENCE Labは、ダッソー・システムズの3DEXCITEアプリケーションと実際の治療で使用される技術データを活用して、コンテンツのシナリオと機能の制作を手がけました。デジタルの連続性のおかげで、ロボットと治療部位の両方を、高い精度のバーチャルツインとして再現することができました。患者の治療過程におけるシミュレーションの効果と性能を評価する臨床試験は、MEDIDATAの臨床試験プラットフォームで実施される予定です。

ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE Labの責任者であるフレデリック・バッシェは、次のように述べています。「現在、デジタルの連続性のおかげで、医療機器のデジタルツインを患者の治療過程に組み込んで、革新的な用途で活用することができるようになってます。バーチャル空間上に忠実に再現された治療室での3D没入体験の効果は、いずれ患者群を用いた臨床試験で評価されることになります」

H. HARTMANN InstituteのマネージングディレクターであるEmile Dinet氏は、次のように述べています。「このような非常に革新的なプロジェクトを成し遂げられたことは、私たちの行動と考えが患者に向けられていることをあらためて証明しています。これは、患者の健康と、正確かつ安全な治療に特化した新しいテクノロジーの統合によって得られた成果です」

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ダッソー・システムズは3DEXPERIENCE®カンパニーとして人々の進歩を促す役割を担い、企業や個人のお客様に対して、持続可能なイノベーションを実現するためのバーチャル コラボレーション環境を提供しています。当社のお客様は、3DEXPERIENCEプラットフォームとアプリケーションを用いて現実世界のバーチャルツイン・エクスペリエンスを生み出すことで、製品やサービスの考案、製造、ライフサイクルマネジメントのプロセスを再定義でき、結果として、世界をより持続可能なものにするために価値ある影響を及ぼすことができます。また、ダッソー・システムズはお客様と共に、消費者や患者、市民など全ての人々のために、人間中心の経済活動であるエクスペリエンス・エコノミーを推進しています。ダッソー・システムズは150ヵ国以上、あらゆる規模、業種の30万社以上のお客様に価値を提供しています。より詳細な情報はホームページ、https://www.3ds.com/ja(日本語)、https://www.3ds.com(英語)をご参照ください。