L'OCCITANE en Provence, Laboratoires M&L

ロクシタン グループの自然化粧品の製法および製造を担当するLaboratoires M&L - L'OCCITANE en Provenceは、3DEXPERIENCEのシミュレーションとバーチャルツインを導入して、作業員の健康と安全を優先した効率的かつ持続可能な生産施設を運営しています。

独自のコスメティックス体験のための安全なスマート工場

ロクシタン L'OCCITANE en Provence - Laboratoires M&Lのフランスのラゴルス生産施設は、その木製のファサードの外観からも、通常の工場とは一線を画していることがわかります。アルデッシュ地方の大自然に囲まれたこの工場は、周囲の環境に溶け込み、自然と共存するよう設計されています。

ロクシタングループのブランドであるL'OCCITANEとMelvitaの自然化粧品、オイル、フレグランスを生産しているこの工場は、1,800m²のグリーンルーフ、12の光井、80m²の予熱用ソーラーパネルが特徴であり、廃水処理プラントで処理後の生産汚水を浄化する10,000m²のフィンランドヤナギの木々に囲まれています。また4,500m²超のソーラー発電パネルが設置されており、工場に必要な電力の最大25%を自家発電でき、今後2030年までに90%を目指しています。施設内では、作業員が良好な姿勢を保って快適に働けるようにワークステーションが構成されています。またデジタル技術により、現場の状況をシミュレーションして作業員の安全を最優先しています。

市場で最も持続可能な自然化粧品を慎重に調達・製造することを誇りにしているLaboratoires M&L社が、従業員のウェルビーングをも最優先していることは当然のことといえます。「従業員が安全快適、インクルーシブで多様性に富んだ環境で働くことは、当社が内外で輝くために不可欠です」(Richard Vinardi氏、L’OCCITANEグループ、Laboratoires M&L社、インダストリアル・ストラテジー・ディレクター)

日常生活では視覚できない状況をバーチャルツインで評価できました

Maxime Plazolles氏 Laboratoires M&L社 L'Occitane en Provence > 安全な工場 - ダッソー・システムズ
Maxime Plazolles氏
L'OCCITANEグループ、Laboratoires M&L社、エンジニアリング&イノベーション・プロジェクト・マネージャー

MyHealth@Workと呼ばれる取り組みが、Laboratoires M&L社の積極的な安全衛生方針を後押ししています。この取り組みでは、ダッソー・システムズのクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームにて、ラゴルス生産施設と生産ラインのバーチャルツインを開発し、労働衛生上の危険を監視および防止のために役立ています。ラゴルス生産施設では200名以上の従業員が勤務しており、60%が女性および40%が男性で年齢もさまざまです。同社は、ワークステーションでの各自の姿勢を評価して、関節や筋骨格系に生じる傷害リスクを特定して、性別によって影響がどう異なるのか調べる必要がありました。

「MyHealth@Workの目的は、作業現場、特にワークステーションやパッケージング・ラインでの人間工学的姿勢の評価です」とMaxime Plazolles氏(L'OCCITANEグループ、Laboratoires M&L社、エンジニアリング&イノベーション・プロジェクト・マネージャー)は述べて次のように続けています。「私たちはシンプルな観察から開始しました。これには、包装ラインでの違和感に伴う体調不良の増加や障害の報告が含まれました。次に母集団のパーセンタイルに従って広範にわたって姿勢をスクリーニングしました。日常生活では視覚できない状況をバーチャルツインによって評価できました。」

MyHealth@Workイニシアチブの一環として、Laboratoires M&L社は、3DEXPERIENCEプラットフォームでDELMIAを使用して、ワークステーションでの各自の姿勢を評価し、生産現場における関節や筋骨格系に生じる傷害リスクを特定しています。

生産現場のバーチャル・ツインおよびさらなる発展

このプロジェクトは、ワークステーションをシミュレーションして、従業員の筋骨格系傷害の発生を防止するため、個別の概念実証(POC)として開始されました。その後Laboratoires M&L社とダッソー・システムズのパートナーシップへと発展しました。現在、両社は協力体制のもと、バーチャルツインを活用して従業員のウェルビーングを向上させ、業務効率を改善する方法を模索しています。

Plazolles氏は次のように語っています。「工場全体をスキャンすることになったのは、このソリューションが真に前進する機能を提供してくれることが分かったからです。これにより、新しいラインへの投資が可能になっただけでなく、ラインを新たに増設するときに、私たちのセクターにおいて極めて重要である、初回からできる限り適切であるということを達成できます。このパートナーシップにより、私たちは知識を生み出し、スキルを開発し、先駆的な方法で新しい技術のメリットを活用して、価値のある領域を特定しています。」

Laboratoires M&L社のラゴルス生産施設のビジョンは、人、パフォーマンス、自然を結びつける新しい地域産業モデルを創造することです。

Aurélie Declef氏(L’OCCITANEグループ、Laboratoires M&L社、インダストリアル・ストラテジー・ディレクター)は次のように語っています。「私たちは、従業員をこのビジョンの中心に位置付け、現場での事故を偶然ではなく必然的にゼロにすることを目指しています。」

3DEXPERIENCEのバーチャルツインにより、ラゴルス生産施設の実際の環境に適用される包装ラインを3Dで可視化。

病原体の伝播を知る

MyHealth@Workの優れた活用例のひとつとして、Laboratoires M&L社は、ウイルスの拡散をより適切に把握して作業員をより適切に保護し、生産ラインで高度なレベルの生産性を維持する方法を特定しています。ダッソー・システムズは、このシナリオのシミュレーションを担当しました。

Laboratoires M&L社から提供された施設の建築3Dモデルに基づき、ダッソー・システムズのチームは気流データ(換気、空気の再循環、外気の供給、空気の流出)を計算しました。これを使用して完全な製造現場のバーチャルツインを作成し、DELMIASIMULIAの流体ソリューションを使用して包装ラインの気流と病原体の伝播シナリオをシミュレーションしました。

「SIMULIA PowerFlow のおかげで、通常は視覚できないものを可視化することができました」とPlazolles氏は述べています。

シミュレーションの結果、同社は作業員を保護するために換気口の位置を変更して、他のゾーンよりも換気の悪いゾーンを作らないようにするなどの対策が必要であることを認識しました。

Plazolles氏は次のように語っています。「生産現場に設置したプレキシガラス製のスクリーンは、作業員が着用している保護マスクほど効果がないことも分かりました。このデータは、将来導入する可能性がある新しいラインにも十分に活用できます。」

SIMULIA aeraulic シミュレーション・フローを生産現場に導入

熱流のシミュレーション

病原体の循環と合わせて、Laboratoires M&L社はラゴルス生産施設の熱条件、特に生産現場の特定のエリアにおける、特定の時間帯の温度上昇を把握する必要がありました。作業員から「温度が極端に上がる時間帯がある」との報告があり、Laboratoires M&L社は、快適さを改善する手段を講じる必要があると考えました。

「温度上昇の原因となっている熱の発生源を特定する必要がありました」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。

ダッソー・システムズのチームは、生産現場のバーチャルツインを使用して、小型コンベア・モーターなど、熱を放射する機器を対象とした熱シミュレーションを行いました。SIMULIA流体ソリューションにより、チームは1日のさまざまな時間帯の生産シナリオをシミュレーションして、熱放射または日光にさらされている生産現場エリアにおいて、夏の暑い日中にオペレーターの快適さにどのような影響があるのか特定することができました。

「SIMULIAを使用して、日射を考慮したエリアの温度設定を検討して、隅々まで温度上昇を制御できるようになりました」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「これを実際の環境で測定することは困難です。バーチャルツインとシミュレーションにより、このシナリオを可視化して状況を把握しています。」

ラインの変更前に事前に条件をシミュレーションできるメリットが、Laboratoires M&L社にもたらされています。

「将来的には、特に耳栓が義務付けられているエリアで騒音シミュレーションを実施して、熱システムと空気システムの関係を調べることで価値を見い出せると考えています」とPlazolles氏は述べています。

Laboratoires M&L社はSIMULIAを使用して、病原体の循環と組み合わせて、ラゴルス生産施設の熱条件を把握する必要がありました。

アウトソーシングが適切である理由

Laboratoires M&L社は、この種のプロジェクトをダッソー・システムズにアウトソーシングして、サービスとしてのバーチャルツインのアプローチを活用することでメリットを得ています。

3DEXPERIENCEプラットフォームを最大限に活用するには、専門知識が必要であることが分かっています」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「しかし、それは弊社の中心的な業務ではなく、ダッソー・システムズが得意な分野です。これをダッソー・システムズのチームに任せることで、複数のプロジェクトを同時に進める時間的な余裕がでてきます。ダッソー・システムズは、当社のスケジュールに合わせてくれます。また新しい技術を試すこともできます。」

このパートナーシップにより、Laboratoires M&L社は新しい技術を試して意見を提供する機会を得て、望ましい結果を得ています。また、このパートナーシップにより、同社は生産規模を迅速に拡張し、必要に応じて追加リソースを投入してプロジェクトを軌道に乗せ、変革的なメリットを組織にもたらしています。

「ダッソー・システムズのチームに仕事を任せて、本来の仕事に専念することができ、より早く成果を達成できています」とVinardi氏は述べて次のように続けています。「また、社内に必ずしもあるとは限らない専門知識も活用できます。ダッソー・システムズのチームは、その他のセクターやパートナーシップから得られた経験を通じて付加価値をもたらし、プロジェクトがさらに強化されました。」

同社は、この種の取り組みが業界では一般的でないことを認識している一方で、特定のITプロジェクトをアウトソーシングすることが今後進むべき道と考えています。

Plazolles氏は次のように語っています。「このアプローチにより、この種のスキルを社内で開発したり、関連するすべてのインフラを整備する必要がなくなり、段階的に基盤を固めています。つまり、コストを抑えながらデジタル・イノベーションを追求できる、ハイブリッド組織になっています。」

Laboratoires M&L社は、すべてのデジタル・プロジェクトをクラウドで扱い、24時間アクセス可能な一元型のオンライン環境で連携することで得られるあらゆるメリットを活用しています。

「当社には、いくつかの拠点があります」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「3DEXPERIENCE Cloudプラットフォームにより、メッセージをやり取りし ドキュメントを共有して、クラウドでコンテンツや成果物を利用できます。また、ダッソー・システムズと容易に連携できます。最終的にすべてをこのプラットフォームに集約しています。」

生産ラインを仮想的に評価

Laboratoires M&L社は現在、3DEXPERIENCEクラウド・プラットフォーム、バーチャル・リアリティ、ダッソー・システムズのシミュレーション・サービスを利用して、生産ラインのセットアップを最適化する方法を検討しています。

「以前は、パッケージング・ライン導入中に多くの課題に直面していました」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「ラインの立ち上げに6ヵ月~18ヵ月かかることもありました。このため、立ち上げ期間を短縮して、没入型のバーチャル・リアリティにより、衝突などの障害や安全性、環境問題を予測して処理能力を迅速に向上させることが目的でした。」

「実際の将来の状況を仮想的にシミュレーションしてオペレーション担当者だけでなく、その他の関係者も関与することで、プロジェクト完了後でなければ観察できない状況を特定できます」とVinardi氏は付け加えています。

現在、Laboratoires M&L社は、新しい設備を導入する必要がある場合だけでなく、新しい生産ラインを製造施設に統合する方法を決定する際にもシミュレーションを利用しています。

Declef氏は次のように語っています。「新しいチューブのラインに投資したばかりです。ダッソー・システムズと協力して、没入型のバーチャル・リアリティを構築しています。これにより、オペレーターがこの新しい製造ラインを仮想的に没入体験して、フィードバックに基づいてワークステーションのセットアップを確認しています。」

ダッソー・システムズのサポートにより、Laboratoires M&L社は、新しい包装ラインを仮想的に没入体験して、安全な作業環境を構築しています。

生産作業の継続

Laboratories M&L社は、2013年からDELMIAを使用して生産および調達フローを管理しています。長年にわたって同社は、生産および物流プロセスをあらゆるレベルで最適化するためにDELMIAを役立てています。

Plazolles氏は次のように語っています。「DELMIAは、生産に大きな規律、トレーサビリティ、組織化をもたらしています。DELMIAにより、生産量を増やし、より適切に組織化できています。」

同社が連携を改善して、現場でのミーティングやフォローアップのプロセスを変革するためにDELMIA 3DLeanの機能を試すことは適切な判断でした。生産チームがクラウドのデジタル・ビジュアル・ダッシュボードと共有環境を使用して、ミーティングをサポートおよび日々のタスクを共有して、情報に基づく意思決定を行っています。

「以前は作業員が何枚ものホワイトボードを毎日確認しながら各自の業務を行っていました」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「3DLeanにより、タスクをデジタル画面で管理して、状況をチーム・マネージャー、アクティビティ・マネージャー、製造オペレーターに明確に示すことができます。」

DELMIA 3DLeanは、さまざまなチーム間のコミュニケーションの改善に役立つだけでなく、より直感的なアクセスしやすい方法で情報を共有できます。

「さまざまな課題に対応して、スケジューリングを改善するのに役立っています」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「作業指示を適切な担当者に割り当て、各作業員のロケーションをライブで可視化できます。現場のマネージャーが、生産を直接管理するために、このソリューションを使用してすでに大きな成果を上げています。」

健康的で持続可能な職場を構築

Laboratoires M&L社は、環境への取り組みにおいて責任を果たすことを真摯に受け止めています。そしてデジタル技術がバリュー・チェーン全体にわたって同社の環境への影響をさらに減らす多くの機会をもたらすと考えています。

「デジタル・ソリューション、特にバーチャルツインの長期的な可能性は、エコロジーへの移行を加速させ、エネルギー効率を最大限に高めるために重要な役割を果たします」とVinardi氏は述べています。

「AI、製法、タスクの自動化、サプライチェーン、ライフ・サイクル分析など、その他の領域にも真の価値をもたらすと確信しています」とPlazolles氏は付け加えて次のように続けています。「例えば、製品の生態学的・環境的影響を測定して、CO2排出を軽減する特定のパッケージング・ラインの使用を決定できます。将来的には、建物のエネルギー消費全体を的確にシミュレーションして、エネルギー消費削減の機会をより明確にできるはずです。」

ダッソー・システムズとの協力により、Laboratoire M&L社は、自社の脱炭素化と生物多様性イニシアティブに引き続き注力すると同時に、積極的で有意味な変革を実現するデジタル機能を構築しています。「最終的に当社は、よりクリーンな環境を配慮した未来のための価値、効率、機会を見い出しています」とPlazolles氏は述べて次のように続けています。「このパートナーシップは、L'OCCITANEグループ、Laboratoires M&L社が新たな歴史を切り拓くために、信頼できる確かな成果をもたらしています。」

L'Occitane en Provenceロゴ > 安全な工場 - ダッソー・システムズ

Laboratoires M&L社、L'OCCITANE en Provenceについて

Laboratoires M&L社は、天然成分や生物学的成分をベースとしたスキンケア、美容、ウェルネス製品の国際的な大手製造小売業者であるL’OCCITANEグループの化粧品とウェルネス製品の製法、製造、一次物流を担当しています。プレミアム・ビューティー・ブランドのポートフォリオとして、L'OCCITANE en Provence、Melvita、Erborian、L'OCCITANE au Brésil、LimeLife by Alcone、Elemis、Sol de Janeiro、Grown Alchemistなどが含まれています。L'OCCITANEグループは、より良い、より健康的な環境を創り出すために、ネイチャーポジティブのビジョンに基づき、地域社会、生物多様性への投資、廃棄物の削減、再生可能なソリューションの発見に取り組んでいます。