BOM: 製品ライフサイクルの卓越性を実現する部品表
製造プロセスに用いられる構成要素やリソースの明細。
部品表とは?
部品表(BOM)とは、製品の製造に必要な構成部品、原材料、サブアセンブリーの体系的な一覧表のことです。部品、数量、構成部品間の関係の詳細な内訳が記載されています。BOM は、一貫性を確保し、ミスの発生を抑え、業界全体で生産効率を最適化するうえで不可欠な存在です。
部品表の主なメリット。
持続可能性と部品表
部品表は、効率的な材料の使用と廃棄物の削減を促すことで、持続可能性のサポート役としての重要な役割を果たします。構成部品のライフサイクルの追跡により、 企業は環境に配慮した製品を設計し、リサイクル・プロセスを最適化し、環境規制に準拠することができます。デジタル BOM は、書類作業を削減し、持続可能な製造活動の合理化を実現します。
さまざまな業界における部品表の管理
さまざまな業界で、BOM 管理の利点を生かし、生産効率を最適化して製品品質を確保することが可能です。多様な業界における、BOM 管理の具体的な活用方法をいくつかご紹介します。
ダッソー・システムズの BOM ソリューションでイノベーションを推進する
ダッソー・システムズの高度な部品表ソリューションを活用して、効率性を高め、コラボレーションを強化しましょう。
BOM 管理のための ENOVIA
部品表データを一元化して効率的に管理し、グローバル・チーム間でのコラボレーションとコンプライアンスを確保します。ENOVIA は BOM 管理のための情報の一元管理機能を備えており、部門横断的な連携を強化して製品開発サイクルを加速します。
DELMIAWorks 部品表ソフトウェア
追跡、コスト管理、効率性確保などの材料管理を改善する統合 BOM ソリューションにより、製造プロセスを合理化します。それによって企業は、BOM の更新を自動化し、ミスを削減し、リアルタイム・データを統合して、意思決定を改善することができます。
DELMIAWorks による品質管理
自動化された品質管理対策によって BOM の正確性とコンプライアンスを確保し、ミスを削減して製品の一貫性を最適化します。製造プロセスに品質チェック機能を統合し、欠陥のない生産を実現して法規制コンプライアンスを確保します。
BOM 管理の真の価値を体験する
グローバル企業各社が、どのように BOM ソリューションを活用し、卓越したオペレーションを達成しているのかをお確かめください。
使用事例: 部品表ソフトウェアの主なビジネス機能
製品設計から生産効率に至るまでの主要なビジネス業務が、部品表によっていかに最適化されるのかをご確認ください。
製品開発のための EBOM
エンジニアリング BOM(EBOM)は、製品の設計意図と技術仕様に関する情報を取り込むことで、製品ライフサイクルの初期段階で重要な役割を果たします。エンジニアリング・チームが、製造開始前に構成要素の関係を定義し、設計の反復作業を管理し、構成を検証するための基礎として機能します。
生産を実行するための MBOM
製造 BOM (MBOM)は、エンジニアリングのビジョンを実行可能な製造ステップへと変換するものです。必要な部品や材料だけでなく、製造現場で必要とされるツールやアセンブリー、指示も記載されています。MBOM は、生産計画担当者やオペレーション・マネージャーが製造活動を調整し、リソースの無駄を最小限に抑えるにあたって不可欠な存在です。
コスト管理と予算
正確な BOM はリソース計画を最適化することで、企業における材料コストの見積もり、費用の追跡、予算の超過防止を助けます。リアルタイムでコストを把握できるようになるため、財務予測や収益分析が改善されます。
サプライヤーの調整
体系的な BOM によってサプライヤーに仕様が明確に示されるため、リードタイムが短縮し、調達効率が向上します。材料管理でのコラボレーションが改善され、サプライ・チェーンのリスクが軽減されて、質の高い構成部品の入手が確保されます。
コンプライアンスと規制面の保証
BOM を使用することで、メーカーは材料や構成部品の正確な記録を維持し、業界固有の規制を確実に遵守できるようになります。 BOM によって、トレーサビリティーや報告業務を改善し、 監査や認定に必要な記録を維持管理できます。
バーチャル・ツインを使用した部品表の強化
バーチャル・ツインは、設計、製造、サービスデータを統合デジタル・モデルで同期させることで、部品表(BOM)管理を次のレベルへと進化させます。バーチャル・ツインは、構成部品の完全なトレーサビリティーを確保し、構成を検証し、チーム間でのリアルタイムの更新を促進します。バーチャル・ツインと BOM との統合によって企業は、シームレスなバージョン管理を行いながら、コラボレーションの改善、ミスの削減、市場投入までの時間短縮を進められるようになります。
ダッソー・システムズの部品表がもたらす大きな価値
担当者へのお問い合わせ
カスタマイズされた BOM ソリューションの詳細については、当社の担当者にお問い合わせください。
BOM ソフトウェアに関する FAQ
部品表(BOM)は、製品の製造に必要なすべての構成部品、原材料、サブアセンブリー、部品の体系的な一覧表です。部品名、説明、数量、構成部品間の階層関係などの詳細が記載されています。適切に体系化された BOM によって、正確な生産が保証され、ミスが削減し、調達や組み立てプロセスが合理化されます。
製造において、BOM は製品組み立ての基礎として機能します。BOM には、生産の各段階で必要とされる材料、構成部品、およびプロセスが正確に記載されています。また、一貫性、品質管理、効率的なサプライ・チェーン管理の確保にも役立ちます。メーカーは BOM に頼る形で、生産ワークフローの調整、在庫の管理、製品ライフサイクル全体での変更と承認の追跡による法規制コンプライアンスの維持を実現しています。
項目 | 製造部品表(BOM) | エンジニアリング部品表(EBOM) | サービス部品表(SBOM) |
定義 | 製品の製造に必要な材料と構成部品が記載された、製造に焦点を当てた一覧。 | エンジニアリングによって定義された、完成品の設計と製造に必要な構成部品、アセンブリー、原材料の詳細な一覧。 | 製品の保守や修理に必要な部品および材料が記載された、サービス面を念頭に置いた一覧。 |
目的 | 製造プロセスの指針とし、生産効率を確保すること。 | 製品設計と構造を定義すること。 | 販売後の製品の保守、修理、サービスをサポートすること。 |
範囲 | 生産に必要なすべての材料、ツール、およびプロセスを対象としている。 | 技術仕様と設計意図に焦点を当てる形で、エンジニアリングおよび設計段階を対象としている。製造プロセスとロジスティクスの詳細は対象から除外。 | 製品のサービスおよび保守に必要な部品およびツールを含む。 |
記載されている構成部品 | 部品、原材料、パッケージング材料、組み立て説明書。 | 部品番号、構成部品の説明、仕様と数量、アセンブリー/サブアセンブリー/構成部品間の階層関係、中間アセンブリーの参照番号を含む。 | ソフトウェア・ライブラリ、オープンソース・モジュール、バージョン、ライセンスの詳細を含む。 |
主なユーザー | 製造チーム、生産計画担当者、サプライ・チェーン・マネージャー。 | 設計および製品エンジニア、研究開発チーム、製品開発チーム、エンジニアリング・マネージャー、CAD/CAE 担当者。 | ソフトウェア開発者、サイバーセキュリティー・チーム、IT 管理者、規制機関。 |
規制の焦点 | 製造規格および生産規制の遵守。 | 技術規格、設計ガイドライン、技術要件を重視。また、製品開発段階において、関連する業界固有の規制基準に合わせる場合もある。 | サービスおよび保証要件の遵守。 |
使用事例 | 生産計画、アセンブリー、品質管理に使用。 | 製品設計、プロトタイプ作成、開発の各段階で使用。 | 販売後のサポート、修理、保守作業で使用。 |
エンジニアリング BOM (EBOM)、製造 BOM (MBOM)、調達 BOM (PBOM)の主な違いは次のとおりです。
項目 | エンジニアリング BOM (EBOM) | 製造 BOM (MBOM) | 調達 BOM (PBOM) |
目的 | エンジニアリングによって設計された製品構成を定義すること | 製品の製造方法を定義すること | 調達や購入がなされる構成要素を定義すること |
重点 | 機能および設計意図 | アセンブリーおよび生産意図 | サプライヤーおよび購入仕様 |
オーナー | エンジニアリング・チームまたは研究開発チーム | 製造チームまたは生産チーム | 調達チームまたはサプライ・チェーン・チーム |
記載事項 | CAD ツールまたは設計ツールで定義されているすべての構成部品とサブアセンブリー | ツール、治具、パッケージング材料、プロセス固有の部品 | 市場で入手できる構成部品、部品番号、ベンダー情報 |
構造 | 論理的または機能的階層に従う | 製造ステップまたは業務ごとに整理される | サプライヤー、リードタイム、購入ロット別にグループ化される |
使用目的 | 設計検証、シミュレーション、プロトタイプ作成 | 作業オーダー、アセンブリー指示、生産計画 | サプライヤーとのやり取り、調達戦略、在庫管理 |
詳細度 | 高い設計精度 | 製造ニーズに関する詳細 | すぐに購入可能な品目に焦点 |
更新頻度 | 設計リビジョンに基づいて変更 | 生産プロセスの変更に伴って更新 | 供給状況や調達先の変更によって異なる |
BOM の例としてよく挙げられるのは、自動車業界です。この業界では、メーカーが車両の製造に必要なすべての部品の詳細一覧を作成します。一覧には、エンジン、トランスミッション、電気系統などの主要構成部品から、ねじ、配線、ファスナーなどの小型部品までが記載されています。BOM は、原材料からサブアセンブリー、最終製品までを網羅する形で階層式に体系化され、生産時にすべての構成部品が確実に管理されるようになっています。
効果的な BOM 戦略を導入するには、組織として BOM の構造を標準化し、バージョン管理を確実に行い、BOM 管理を製品ライフサイクル管理(PLM)システムやエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムと統合する必要があります。BOM データの一元化によって、エンジニアリング、製造、調達の各チーム間のコラボレーションが改善し、シームレスな更新が実現するとともに、生産時のミスも減少します。ENOVIA や DELMIAWorks などのダッソー・システムズのソリューションの機能を活用することで、BOM をデジタル管理できるようになり、製品ライフサイクル全体でのトレーサビリティー、ワークフローの自動化、コンプライアンスのさらなる向上が実現します。
ダッソー・システムズの BOM ソリューションは、3DEXPERIENCE プラットフォームとシームレスに統合されているため、リアルタイムのコラボレーションや高度なトレーサビリティー、設計、エンジニアリング、製造、サプライ・チェーンの各業務間における同期を可能にしている、という点で他とは一線を画しています。各 BOM ソリューションは、データサイロを解消し、ミスを削減し、構想立案から生産までの製品の完全なトレーサビリティーを確保することにより、効率性を向上させます。ダッソー・システムズは業界固有の BOM 管理機能を提供しており、自動車、航空宇宙、産業機械、ハイテクの各業界にわたって、コンプライアンスの確保、生産の俊敏性向上、コストの最適化を実現しています。