ROBOT AT WORK 社

Robot at Work 社は、クラウド上の 3DEXPERIENCE プラットフォームでバーチャルツイン・エクスペリエンスを使用することで、生産ラインのセットアップを改善し、生産能力を正確に見積もることができるようになりました。

バーチャルな世界でロボットを最適化

生産ラインをバーチャルでセットアップし、必要なリソースを削減したうえで最大限の生産量を達成できるとしたらどうでしょう。また、バーチャルなプラントですべてをテストすることで、実際の生産ラインやセルの構築や再構成を行う前に、想定するシナリオを際限なく実行して設計をチェックできるとしたらどうでしょう。これこそまさに、バーチャルツイン・エクスペリエンス・テクノロジーを採用した、Robot at Work 社が、製造業のお客様のために実現していることです。

Robot at Work 社は、2017 年創業のイタリアの生産ライン・ソリューションの専門会社で、協働ロボットの販売と構築からスタートしました。協働ロボットとは、回路基板アセンブリー、金属加工、パッケージング、積込みと積下ろしなどの作業を行う、生産環境で人と協力して働くアーム型ロボットのことです。創業から間もなく、標準的なロボットを使用して、より複雑な製造の問題を解決したいとお客様から要請されるようになりました。同社は、自動車業界の大手メーカーがどのようにバーチャル・コミッショニングを活用しているのかを見て、同じ技術の採用を決めました。

Robot at Work 社のコマーシャル・マネージャー、Alessandro Tecchia 氏は次のように述べています。「ここ数年、主要な自動車メーカーが、溶接ラインなどでバーチャル・コミッショニングを採用する方向に向かっているのを見てきました。ロボットの機能をテストし、機能性を評価して、仮想モデルに基づき問題と改善点を特定できれば、お客様の自動化のあらゆるニーズを満たすことができるだろうと考えていました。最終的には、市場の求めに応じて、すべてのインテグレーターがこの方向に進むようになると思います」

Robot at Work 社の新しいバーチャル・コミッショニングのアプローチを支えるのは、3DEXPERIENCE プラットフォームを基盤とする DELMIA です。同社は以前、顧客の生産要件を特定し、2D レイアウトでロボット・ソリューションの設計と検証を行っていました。実際の環境でセル全体を構築してはじめて、ソリューションを試験し問題を特定することができたのです。

Tecchia 氏は次のように言います。「より優れた方法があることが分かりました。バーチャルな世界でこのような問題を解決する可能性を探ったところ、3DEXPERIENCE プラットフォームとそのアプリケーションである DELMIA が、必要なすべての機能を備えていることが分かりました。今では、構築する前にロボット・セルを完全に定義できるため、より短期間でソリューションをお客様にお届けできるようになりました」

現在、Robot at Work 社はバーチャル・コミッショニングによって、複雑さが増している顧客の要件に容易に対応し、より効率的に製造作業を実行できるように顧客をサポートしています。

Tecchia 氏は次のように述べています。「最近、12 以上のセルで構成されるプラントをシミュレーションする機会がありました。そのお客様は、ロジスティクス用に自動化された AGV(ガイド付き車両)の導入を検討していたのですが、必要な作業現場のスペースは、お客様が予定していたスペースの 4 分の 3 で済むことを、当社は説明しました。現在、よりコンパクトなスペースで部品を作成し、はるかに効率的な稼働ができるようになりました」

同社はさらなる新たなビジネスも獲得しています。

Robot at Work 社の管理者、Lorenzo Codini 氏は次のように話します。「お客様への提案方法が完全に変わったことで、今では市場の他の標準的なインテグレーターより抜きんでた存在となっています。当社のお客様は、生産ラインの完全なシミュレーションを事前に確認してから、実際の生産ラインの設置に一括して投資を行えるようになりました。イタリアでは、このような方法を採用している会社は多くはありません。まさに、当社の新しいプロジェクトの進め方に革命をもたらしました」

弊社の顧客は、生産ラインの完全なシミュレーションを事前に確認して、投資回収を正確に把握しています。これにより、顧客の信頼がさらに高まっています。

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Lorenzo Codini氏
管理者、Robot at Work社

クラウドで提供される完全なソリューション

Robot at Work 社のチームは、DELMIA を含む 3DEXPERIENCE プラットフォームを選択する前に、バーチャル・コミッショニングのソリューションを複数評価しました。

Codini 氏は次のように述べています。「単体でバーチャル・コミッショニングの要件をすべて網羅するソフトウェアを探していました。当社の設計事務所はすでに、ダッソー・システムズの SOLIDWORKS ソフトウェアを使用していました。そのため、IT パートナーの Nuovamacut がこのプラットフォーム上の DELMIA を紹介した際に、まさにこれだと思いました」

Robot at Work 社は、DELMIA の高度なロボット機能に感銘を受けました。特定の生産ラインの観点からロボットをプログラムし、すべてのロボットの動作を詳細にシミュレーションできるためです。また、クラウドベースのソリューションを使用することにも強い関心を持ちました。

Tecchia 氏は次のように話します。「ソリューションをクラウド上で展開できることを評価しました。当社は大企業ではないので、巨大な IT インフラストラクチャを備えていません。当社にとってクラウドは大きなメリットでした。つまり、多額の先行投資をせずにソリューション上で稼働させることができるということです。自動的に更新を取得できるため、常に最新バージョンのソフトウェアを使用できることも気に入りました。お客様の現場を訪ねる際は、ノート PC さえ持っていれば、どこからでも簡単に 3DEXPERIENCE プラットフォームにアクセスできます。ハードディスクを持ち歩く必要はもうありません」

Robot at Work 社は、Nuovamacut のチームのサポートを受けて、わずか 2 ヵ月で DELMIA での稼働をスタートしました。

Codini 氏は次のように述べています。「Nuovamacut のチームは、当社と緊密に連携して稼働を成功に導いてくれました。プロセスが実に迅速で、素晴らしいサポートでした。Nuovamacut は、当社がすぐに対応できるようトレーニング・プログラムを設定してくれました。そのおかげで、独力で DELMIA を使用できるようなりました。Nuovamacut のチームには、いつでもサポートをお願いできます。お客様から、標準とは異なるシミュレーションの依頼を新たに受けたとしても、Nuovamacut が専門知識を駆使してサポートしてくれるので安心です」

生産ライン・セットアップの 3D モデル

シミュレーションで複雑さを解消

Robot at Work 社はその創業以来、柔軟性の向上、低コストでの製品製造、市場投入までの時間短縮、最高レベルの品質維持といったプレッシャーに製造業界がさらされる中、製造業の顧客のニーズが拡大していることを目の当たりにしてきました。

Tecchia 氏は次のように述べています。「お客様のすべての要件を満たすことはますます難しくなっていました。特定の依頼を携えてお客様がご相談に来られたとしても、必ずしも明白な解決策があるわけではありませんでした。また、現場の作業全体の流れの中で、ロボット・セルがどのように動作するかを確認したいとの希望もありました。シミュレーションはこうした問題の打開策となりました。当社はすでに、数多くの自動車メーカーのお客様に、バーチャル・コミッショニングのアプローチを使って対応しています。生産ラインに関する依頼の解決に役立っています」

これによって大きな違いがもたらされた領域の 1 つが、現在 Robot at Work 社がロボット・アプリケーションと PLC (製造プロセスで特定の機械を制御する書き込みコード)をプログラミングするのに用いている方法です。

Codini 氏は次のように付け加えています。「当社は自動車業界のお客様のために、数多くのロボットや PLC のプログラムを行っています。シミュレーションを通じて自動化ソリューションを評価し、構築を行う前に、ロボットと PLC のプロセスがどのように工場ツールや機械の動作に影響するかを正確に示すことができるようになりました。こうしたことは、以前は不可能でした」

現在当社は、DELMIA で完全なロジスティクス・ソリューションを販売しており、昨年だけでもロボット・ビジネス・ラインの収益が倍増しました。

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Alessandro Tecchia 氏
Robot at Work 社、コマーシャル・マネージャー

適切なロボットを選択

Robot at Work 社は、各生産ラインのソリューションを非常に詳細なレベルで定義する機能を用意しているため、どのロボットがどの作業に最適であるかを判断し、複数の異なる機能を 1 つのセルに結合することができます。同時に同社の顧客は、物理的に新しいラインを設置し、それをデバッグして最適化するという従来の方法によって生じるコスト、遅延、ミスを回避できます。

Codini 氏は次のように話します。「DELMIA を使用すれば、すべてのロボットの動作を徹底的にシミュレーションできます。すべての主要ロボット・ブランドを使用し、それをプログラミングして、機械部品の移動や変更を行ってから、同じアプリケーション内でロボットを交換できることがそのメリットです。これにより、多数のロボット・ブランドを容易に統合し、そのすべてを比較して、どのブランドがお客様のニーズに最適であるかをチェックできます。その結果、こうしたブランドがお客様の環境に適合するかが正確に分かります。また、DELMIA を使用すれば、変更を行う既存のロボットをテストすることもできます」

Robot at Work 社はこの手法によって、それぞれの顧客の要件に合わせて最適なソリューションを提供し、コスト削減を支援することができます。

Tecchia 氏は次のように述べています。「自動車業界のお客様がその一例です。この業界のお客様は、品質の確認を行うため、ビジョン・コントロール・システムを備えたアセンブリ・ユニットを利用しています。以前は、ラインの監視にカメラが 5 台必要でしたが、当社は、同じ部品を 1 台のカメラでまったく同じように監視できる新しいロボットのセットアップをバーチャルで設計しました。当社のシミュレーションで、部品を組み立てるロボットのすべての動作を 1 台のカメラで追跡し、品質にまったく影響がないことを示すことができました。お客様はこのセットアップを他の生産ラインにも導入し、コストを大幅に削減しています」

最大限の生産量を実現

Robot at Work 社が対処しなければならない主な要求の 1 つは、最大限の生産量を達成できるよう顧客をサポートすることです。

Tecchia 氏は次のように述べています。「お客様がまず見たいというデータは生産量です。これまでは、計算と経験に基づいてサイクル・タイムを見積もることしかできませんでした。すべてのシナリオを計画できたわけではなかったため、最終的な生産量で問題が発生することがありました。シミュレーションにより、各段に正確性が向上します。ロボットがどのように動作するかをバーチャルな世界でお客様に示すことができ、結果は実際の生産に非常に近いものになります。もう驚くようなことはありません」 

バーチャルツイン・エクスペリエンスは、動作中にシステムをシミュレーションすることもできます。これにより、Robot at Work 社とその製造業の顧客は、システムを監視し、調整のためのモデルを作成して、システムに自動的に変更を加えて効率を大きく高めることができます。

Robot at Work 社は、バーチャル・エクスペリエンス・ツインを使用し、生産ラインのセットアップを改善しています。

サービスの新しいビジネス・モデル

Robot at Work 社にとって、バーチャル・コミッショニングへの移行は、同社が顧客の初期要件を満たすうえで、そして生産ソリューションが完全に稼働した後も引き続き顧客にサービスを提供するうえで、まさに転機をもたらすものでした。

Codini 氏は次のように説明します。「最大の影響の 1 つがアフターセールス・サービスです。月に 2~3 回生産を変更するお客様が多く、プログラムの変更には当社のサポートが必要です。このプラットフォームと DELMIA は、セルを新規に立ち上げて稼働させるまでの期間の短縮に役立っています。生産サイクルまたはロボット・サイクルの変更をお客様が希望する場合は、事前にシミュレーションを行ってそれが機能することを示してから、最小限の稼働停止時間で切り替えを行います。当社としては、新しい生産サイクルをその日のうちにスタートさせることができます」

3DEXPERIENCE プラットフォームを採用して以来、Robot at Work 社のビジネスは大きく成長しています。

Tecchia 氏は次のように述べています。「現在当社は、DELMIA で完全なロジスティクス・ソリューションを販売しており、昨年だけでもロボット・ビジネス・ラインの収益が倍増しました。今後もさらに大きな成長を期待しており、このプラットフォームが実際に推進してくれています」

「働き方は以前とはまったく変わりました」と Codini 氏は付け加えます。「お客様は当社を頼りにし、当社のノウハウを信頼しています。構築に取り組む前に、最適なソリューションが提供されていることを確認できるようになり、投資がどのような効果をもたらすかを正確に把握しています。このことで、当社とお客様の関係はより緊密になっています」

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Robot at Work 社について

Robot at Work 社は、革新的なスタートアップ企業としてイタリアのロバトで創業しました。創業当初は、協働ロボット(コボット)の販売を行っており、インテグレーター、エンド・ユーザー、研究開発センター、教育機関に、革新的なコボットを提供することを目的としていました。

一般的な産業用ロボットを事業に加えることで進化を続けており、現在はバーチャル・ツインとバーチャル・コミッショニングの両方をメインの内部設計ツールとして使用するためのスキルとリソースに投資を行っています。

詳細情報: www.robotatwork.it

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Nuovamacut 社について

Nuovamacut 社は、CAD、CAM、CAE、PLM の専門知識を持つイタリアの企業で、ダッソー・システムズのパートナーです。イタリア全土で事業を展開しており、あらゆる規模の、さまざまな課題を抱える顧客をサポートしています。機械産業、金型の設計/組み立て、消費財、技術的装置から、航空宇宙、輸送、プランニング、設計サービスに至るまで、さまざまな分野で事業を展開しています。