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ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラッ トフォームとシングル・ソース・フォー・スピー ド・インダストリー・ソリューション・エクスペ リエンスを採用

思考の糧

持続可能な生産は、第四次産業革命の主要トレンドのひとつです。世界人口が今世紀末までに現在の70億人から110億人に増えるという予想を受けて、政府、科学者、企業の間で持続可能な食糧生産に対する重要度が高まっています。 「世界規模で食糧需要を満たすには、2050年までに食糧生産量を2倍に引き上げる必要があります」とCLAASグルー プのエグゼクティブボードメンバー、技術&システム担当 Thomas Böck氏は述べています。CLAASグループは世界有数の農機具メーカーで、同社のコンバイン、収穫用ハーベスタ、ベイラー(干し草などを圧縮して梱包する機械)、 トラクタはその技術と品質で高い評価を得ています。

「過去20年から30年の農機の技術進歩は、規模とパワー の向上を指すものでした」とBöck氏は述べています。現在は、運用コストを最小限に抑えながら、より高い実績を上げることができる、インテリジェントでエネルギー効率に優れた農機に重点が置かれています。機械のパワーや生産性ではなく、エネルギーの効率的な使用を重視する農家の人々は、こうしたインテリジェントな機械を選ぶようになっています。農地からの収穫を効率的に行い、技術も、 水やエネルギーと同様に上手に使って、より多くの実績をあげること、つまりはさらに大きな収穫をあげることが求められます」と Böck 氏は述べています。「CLAAS 社では、IoT 対応型のスマート・テクノロジーを搭載した農機の出荷が増加し、生産プロセス全体を効率化する、作業プロ セスの自動管理がすすんでいることを認識しています」

お客様を把握して、革新を追求する

第四次産業革命によりコンシューマー・エクスペリエンスが大いに強化される中、CLAAS社ではイノベーションと技術を融合させ、顧客ニーズを完全に把握しています。 「お客様に対する理解とサービスへの注力が、私たちがお客様に支持されている理由です」とBöck氏は述べています。同社には、新しい、さらなる効率性につながるアイデアを設計プロセスに組み入れることを目標にしている設計チームが世界中にいます。同時にお客様が何を求めているのかを常に把握しておくのも彼らのミッションです。

「CLAAS社における非常に重要かつ中核的な活動のひとつが研究開発です」とBöck氏は述べています。「当社は世界最大のメーカーというわけではなく、競合とはイノベー ションと顧客サービスで差別化を図る必要があります。お客様に満足いただくには、そのニーズをまず知る必要があります。お客様に関与していただくことで、新しいアイデ アに対するフィードバックがすぐに得られますが、さらに重要なのは、それが適切であるかどうかということです。 これにより開発が加速され、競争上の優位性がもたらされ ます」

3DEXPERIENCE プラットフォームにより、データの複雑さを克服できるだけでなく、グローバルな連携もしっかりとサポートされます。

claas böck
Thomas Böck 氏
CLAAS グループ、Executive Board Technology & Systems

データの複雑さと専門領域をまたぐ連携

CLAAS社の開発拠点は世界中にあるため、国境を越えた連携が必要です。さらに、CLAAS 社が提供する製品は多岐にわたり、同社が生成し管理する複雑なデータは膨大になります。グローバルな連携を促進し、増大するデータの複雑さを管理するために、CLAAS 社では ダッソー・システムズ の 3DEXPERIENCE® プラットフォームを活用しています。 「新しい技術やビジネスモデルをいち早く市場に投入する必要があります。デジタル変革によりそれが可能となりま す」と Böck 氏は述べています。「さらに当社の企業戦略となっているデジタル変革が、専門領域をまたぐ連携とデー タ管理に向けての重要な成功要因です」

3DEXPERIENCEプラットフォームは、デジタル変革の重要な役割を担っています。着想から生産およびサービスに至るまで、当社の設計、デジタル化の活動をすべて網羅した戦略的プラットフォームです」とCLAAS社のデジタル 製品エンジニアリング責任者Nico Michels氏は述べています。「デジタル変革の一環として、業務プロセスに影響をもち関与する従業員全員がこのプラットフォームを使用し ています」

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、複雑さを克服できるだけでなく、コラボレーションもサポートされます。CLAAS社のどの拠点からでも、同じ製品または同じオ ブジェクトに対し同時に連携できます。エンジニアリング 部門だけでなく、必要に応じてすべての後続部門が製品や 特定のオブジェクトに同時にアクセスできます」と Böck 氏 は説明しています。

3DEXPERIENCEプラットフォーム 環境でのコンポーネント仮想モデル

どこでも設計、どこでも生産

第四次産業革命の担い手はグローバルに考え、ローカルに行動します。CLAAS社の世界中の開発および生産拠点では社内規定と規範に従って農機を開発しなければなりません。そのためには、一貫性のある業務プロセス、同じデー タの共有、アイデアや専門知識を安全な方法で国を超えて交換する必要があります。

「クローバル競争において、メーカーはどこでも設 計、どこでも生産できる能力を手に入れる必要があります。CLAAS社でも世界中に複数の設計拠点および生産拠点を置いたうえ、統一された方法で農機を生産できるよう、準備をすすめる必要があります。全ての拠点間でのグローバルなコラボレーションを効率化することで 世界への進出を拡大するため、ダッソー・システムズ の3DEXPERIENCEプラットフォームを採用しました」 とCLAAS社のCIOであるBernhard Schuchert氏は述べてい ます。

「世界中の設計者が単一のデータ管理システムにアクセ スできます。必要なデータのみを開示する原則に従って 3DEXPERIENCEプラットフォームで認証を行い、データ を不正アクセスから保護しています」とMichels氏は述べ ています。「誰もが同一の製品情報を使用し、間違った設計が使われた時に起きるエラーを防止します。統合型ソリューションに誰もがアクセスできるようになり、最新の設計情報が共有されます。データのコピーが不要なため、更新は一度で済みます」とBernhard Schuchert氏は述 べて次のように続けています。「誰もが単一のデータベー スにアクセスするため、インドとドイツの設計者が同じ部品を編集できます」

インテリジェントな機械を製作するためのツール

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、CLAAS社では 設計者が自分の設計情報をデジタルに保存し、プロトタイ プを作る前に試験できる環境があります。「よりインテリジェントな農機を作るには、複数の領域の設計者が早い段階から連携する共同作業が必要とされます」とBöck氏は 述べています。「これまでシステム・エンジニアは、メカの設計が完了するまでに農機の設置設計ができませんでし た」とアドバンストPLM開発部門のKai Wallasch氏は述べ ています。「問題が発生すると、再設計作業の規模は、計画と費用の面で許容できないほど大きくなることがありま す。3DEXPERIENCEを導入したことで、メカ、電気、油 圧系のエンジニアが設計に同時にアクセスし、順番を待つ ことなく同時に作業できるようになりました」

「今ではエンジニア達は、メカの設計が完了する前に自分たちの要件を考慮に入れてもらうため、こうした要件を先 に出してきます。調整はデジタル環境の中ですぐに行われ ます。結果として、構造設計の早い段階で電気系および油圧システムの配置が行われ、生産時の無駄やエラーが低減されました。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、 空間要件を早期にシミュレーション、検出し、結果を製造前に把握することで、最終の物理的組付けを加速できま す。さらに、オペレーターの動線や整備のシナリオを展開することで、設計にエルゴノミクスの配慮がなされます。 これは農機のオペレーターや整備担当者にとって重要です」とWallasch氏は述べています。

農機の寿命は長いため、新しい技術が利用可能になった際には農機をアップグレードすることが重要で、これにより農家の方々に最高の価値をお届けし続けることができま す。「電子機器、ソフトウェア、CPU、メモリなど、技術のライフサイクルは一般に当社の農機よりも短いです」と Böck氏は述べています

「当社の農機が将来でも利用できるよう、既存の農機の テクノロジーに新機能を追加したり、アップグレードを かけたりする必要があります。それによりオーナー様に その後何年にもわたり継続的な付加価値を享受いただけます。当社が開発するあらゆる農機の設計データが 3DEXPERIENCEプラットフォームに保存、管理されているため、こうした情報にアクセスすることで、農機の製品寿命を通じて機能を追加したり、新しい技術をお客様に提供できたりします。新しい農機を開発する必要はありません。対応がより迅速になり、高いコスト効率により、お客様にはご満足いただいています」

CLAAS Lexion 700 シリーズ・コンバイン

将来への備え

デジタル変革は、さらに新しい知識の獲得、組織構造の変更、再定義および改革にも及びます。「当社の業務プロセ スを大きく改善できました。というのも、古い習慣を打破し、旧態依然の業務体制を考え直し、リエンジニアリングする機会が得られたからです。3DEXPERIENCEプラット フォームにより将来に対する備えができました」とMichels 氏は述べています。

Böck氏によると、革新的な製品として認められることはよいことではあるものの、CLAAS社にとっては十分ではありません。「さらに農業産業が直面しているグローバルな 課題に適切に対応するため、農機の開発と製造のやり方を革新し、業務プロセスやシステム、ツールを革新する必要があります。農業技術は急速に変化しています。CLAAS社 のデジタル変革では、開発から販売までのすべての段階を網羅し、開発パートナー、ソフトウェア・サプライヤー、 研究機関、顧客とメーカーとしての同社を結び付けます。 共通の環境、単一のマスターデータ、世界中のプロジェクト関係者によるこの単一の情報源へのグローバルなアクセスからすべてが始まります。「3DEXPERIENCEプラットフォームにより当社の研究開発における生産性が向上し、 グローバルな人材が単一のプラットフォームに結集して ノウハウやアイデアを交換できるようになりました。これ により、マーケットに対し革新的な製品をより早く出すことができます。それはお客様にとって、また当社の活動をグローバルレベルに引き上げるのにも重要です。」
 

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CLAAS 社

CLAAS 社
世界有数の農機具メーカー
製品: コンバイン、フォーレージ・ハーベスタ、
ベイラー、トラクター、フィールド・ハーベスタ
従業員数: 11,000 人
売上高: 2017 年 38 億 4 千万ユーロ
本社: ドイツ、ハルゼヴィンケル
詳細情報
www.claas-group.com