ブイグ・コンストラクション社

3DEXPERIENCEプラットフォームを同社のグローバルビジネス全体にわたって展開して、意思決定の合理化、無駄の削減、品質の向上、複雑なプロジェクトへの対応などのメリットを得ています。(Image © Laurent Blossier)

従来の建築を再構築

パリの玄関口に位置するポータンにあるアールデコ調のルクレール・スイミングプールが、芸術とスポーツのための最新施設に生まれ変わりました。この大規模な改修工事では、元のスイミング・プールが修復され、景観の良い庭に面して、大講堂と音楽室からなる新しい音楽学校が建設されました。建設を担当したのは、持続可能な建設の世界的リーダー、フランスのブイグ・コンストラクション社です。同社は、建築、土木、エネルギー、サービス分野のプロジェクトの設計、建設、運営を専門としています。

ポータンには、優れた技術、大胆な建築、そして高い環境基準が組み合わされています。最も注目すべきは、ブイグ・コンストラクション社の広範なデジタル・トランスフォーメーション戦略の重要なパイロット・プロジェクトであることです。同社は3DEXPERIENCE®プラットフォームにより、新しい作業方法を検証し、プロジェクトの全関係者がバリューチェーン全体にわたって連携するより優れた方法を見い出しました。

「私たちの現在の作業方法は数年前から変わっていません」とブイグ・コンストラクション社のポータン作業所の監督者ギルエム・ボゴワン氏は述べ、次のように続けています。「ポータンの現場での全体的なポイントは、3DEXPERIENCE プラットフォームを通じて、紙や壁のディスプレイ、ハイライトを使った従来の仕事のやり方を改善し、デジタル化によってプロセスをより効率的に構成する方法を検討することでした」

3DEXPERIENCE プラットフォームは、情報の一元管理により、すべての関係者をまとめてくれます。

Frederic Gal 氏の人物写真
Frédéric Gal 氏
Bouygues Construction 社、ビジネス変革プログラム・ディレクター

ブイグ・コンストラクション社は、自社のビジネスならびに業界の未来のために、 建設アプローチの根本的な変革に取り組んでいます。

ブイグ・コンストラクション社ビジネス・トランスフォーメーション・プログラム・ディレクターであるフレデリック・ガル氏は次のように述べています。「建設業界は、デジタル化が進んでいない業界のひとつであり、ここ数年生産性が停滞しています。「デジタル技術を積極的に導入し、作業を変革する必要があります」

ブイグ・コンストラクション社は、建設業界の重要な課題に取り組み、大規模なカスタマイズをサポートする次世代のソリューションを構築することを目的として、ダッソー・システムズと提携しています。

ガル氏は次のように述べています。「当社の目的は、オーダーメイドの建設物を工業手法で提供することです。このために、デジタル・プロジェクト・マネジメント・プラットフォーム(PMNP: Plateforme de Management Numérique des Projets)を3DEXPERIENCEプラットフォームで展開しています。PMNPは、すべてのプロジェクトおよびすべての関係者を管理する連携ソリューションです。ダッソー・システムズと協力して、その知識と経験が当社の変革にどのように役立つのか確認しています」

ルクレール・スイミング・プールが、芸術とスポーツのための最新施設に生まれ変わりました。

持続可能性の目標をサポート

ブイグ・コンストラクション社は、CATIA、ENOVIA、DELMIAアプリケーションをクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームで使用して、エコシステムのサイロを解消し、プロジェクト指向のアプローチを展開しています。ブイグ・コンストラクション社とダッソー・システムズは、確実な成果を上げるためにバリュー・エンゲージメント・フレームワークで作業を進めています。これは、測定可能なビジネス・バリューと成果を確認する、コンサルティング・アプローチです。建設エコシステム全体を変革し、バーチャルツインや連携技術のメリットをすべての関係者にもたらすことが、両社の共通の目的です。

ガル氏は次のように述べています。「設計段階でより詳細な情報を得ることができれば、作業員の安全衛生の面にもメリットがあります。これにより、生産性が高まり、より早く、より高品質な建設を実現できます。また、設計・施工期間を短縮し、正確な進捗状況を報告する、生産性の高い方法でお客様の特定のニーズに対応することで、より良い顧客体験に転じていくことができます」

デジタル化は、持続可能な開発の課題に対する対策を改善するうえで、大きなチャンスをもたらします。

Mare-Luce Godinot 氏のポートレート
Marie-Luce Godinot 氏
Bouygues Construction、情報システム、デジタル・トランスフォーメーション、イノベーション、持続可能な開発担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント

社会的および環境的に責任を果たす企業になるために、主な4つの持続可能性の課題に取り組んでいる、ブイグ・コンストラクション社にとって、この連携は不可欠な役割を果たしています:「持続可能な地域開発への貢献」、「低炭素型企業文化の構築」、「生産性向上を支援するデジタル化」、「すべての人材が活躍できる環境の整備」。

ブイグ・コンストラクション社の副CEO、マリー-リュース・ゴディノ氏は、次のように述べています。「デジタル化は、持続可能な開発課題への対応を促進する、大きな可能性をもたらします。たとえば、炭素コストの計算や最適化、資材リソースの管理向上など、すべてがプロジェクト関係者である、サプライヤー、専門工事会社、設計者、お客様との新たな充実した関係につながります」

設計から制作、据え付けまでのプロセスを合理化することで、建設現場や工場の廃棄物が削減されます。また、責任を持って建設および改修を行うための対策も講じられます。

「二酸化炭素排出量40%削減を2030年までに達成することが、ブイグ・コンストラクションの取り組みです」とガル氏は述べ、次のように続けています。「3DEXPERIENCEプラットフォームは、この目標達成をサポートします。例えば、温室効果ガスの排出量を容易に計算できます。低炭素の建築物を設計することも私たちの仕事です。このプラットフォームは、「トレーサビリティー、材料の最適化」、「さまざまな要素のレイアウト強化による廃棄物の削減」、「気候変動への影響を算定して改善」するなど、多くの点で役立っています」

ルクレールのプール作業現場での協業(Photo © My Photo Agency / Bouygues Construction)

人が中心的な役割を果たすデジタル戦略

ボゴワン氏は、建設現場は探求心に溢れていると語っています。デジタル化が目標である一方で、この戦略的なトランスフォーメーション・プログラムの中心的な役割を果たすのは人であるということが終始重要であると付け加えています。

「毎日、多くの作業員が現場で共に働き、常に意見を交わしながら、大量の情報と流れを管理しています。プロセスに秩序をもたらすために、3DEXPERIENCEプラットフォームが必要でした」とガル氏は述べています。

ブイグ・コンストラクション社が直面している課題を真に理解するために、ダッソー・システムズは建築の日常業務を実際に体験しています。

「ダッソー・システムズは、まず当社のニーズに関する聞き取りを行いました。さらに一歩踏み込み、当社の日常業務を理解してくれました。ダッソー・システムズの担当者が数か月にわたって、現場作業に加わりました。これにより、当社の仕事のやり方を理解した上で、プラットフォーム環境の具体的なユースケースが特定されました。これこそが、プロジェクトが成功した主な理由のひとつです」

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、ブイグ・コンストラクション社の作業員は、新たな慣例や日常業務を受け入れています。

「プラットフォームがベストプラクティスを得るために役立ちました」とボゴワン氏は述べ、次のように続けています。「プラットフォームにより、作業員の参加を容易に行うことができます。以前のセットアップでは、必ずしもこのようにいきませんでした」

建設チームの現場は、特にDELMIA 3D リーンを使用しています。紙にメモ書きするのではなく、すべてのタスクの状況確認や進捗状況の監視にオンライン・ミーティングや連携アプリを利用しています。

「DELMIA 3D リーンは、タスクを可視化して管理するという点で非常に役立っています」とボゴワン氏は述べ、次のように続けています「以前は、壁に付箋を貼っていました。今は、すべての情報をプラットフォームに集約して、ミーティングで大型画面で伝えています。全員がより積極的に取り組み、現状を正確に把握することで、問題を容易に特定し、重要なアクションに優先順位を付けることができます」

「ダッソー・システムズ・チームは、当社のプロセスをシンプルなものにし、日常業務を円滑に行うためのソリューションを開発および構築しています」とガル氏は述べ、次のように続けています。「次のプロジェクトで3DEXPERIENCEプラットフォームを使えなかったらどうするか、当社の作業員に質問したところ、全員が「それはあり得ない」と答えました」

ブイグ・コンストラクション社のチームは、3DEXPERIENCEプラットフォームでDELMIA 3D リーンを使用して、ミーティングですべての情報を大画面で伝えています。

クラウドで点と点をつなぐ

3DEXPERIENCEプラットフォームのENOVIAは、すべてのデータや情報を一元的に集約し、意思疎通を妨げる障壁をなくし、建設の潜在的な問題点や遅れを特定して現場で大きな問題になる前に対処するのに役立っています。

「配送スケジュールを改善しています。例えば、配送担当者名、現場の搬入口、クレーンが必要かどうかなど、役に立つ情報をプラットフォームで入力しています」とボゴワン氏は述べ、次のように続けています。「以前はこのような情報がなく、情報の徹底や正確さが欠けていたため、エラーやミスの原因となっていました。今は、はるかに円滑に業務を行っています」

クラウド・ベースのプラットフォームは、テレワークの連携をサポートし、組織全体にわたって人員をつなぎ、複数の領域にまたがるチームを単一の環境でまとめる重要な役割を果たしています。

「ポータンのプロジェクトでは、パンデミックの際に、世界中に分散しているチームを容易に連携させることができました」とガル氏は述べ、次のように続けています。「全員がどこからでもプラットフォームにリモート接続できます。『今どこにいるのか?』、『あの作業は終わったのか?』といった質問を繰り返す必要がないので、時間を節約し、業務に集中できます。すべての情報を3DEXPERIENCEプラットフォームに集約しています。また、定期的にアップグレードされるため、最新バージョンのソリューションを利用できます」

ブイグ・コンストラクション社は、すべてのデータを3DEXPERIENCEプラットフォームで一元的に管理し、信頼できる正確なデータにより、信頼性の高い意思決定を迅速に行っています。

ガル氏は次のように述べています。「このプラットフォームは、情報を一元管理し、すべての関係者を結び付けます。入力されたデータを、すべての担当者が利用して、必要なファイルを簡単に見つけ出すことができます。また、社内での各自のロールに従って、データを可視化できます。これにより、大きな価値がもたらされています」

BIMからバーチャルツインへ

ブイグ・コンストラクション社は、すべてのプロセスをそのままデジタル化していません。ダッソー・システムズと協力して、2ステップのアプローチを採用しています。第1ステップは、プロジェクト指向の共同作業方式の導入です。第2ステップは、革新的なインダストリー・プラクティスの導入です。これにより、生産性を高め、持続可能性に関連する規制に伴う複雑さに対処しています。これを行うために、BIM (ビルディング・インフォメーション・モデル)をさらに進展させた、建設バーチャルツイン・アプローチを採用しています。これにより、プログラムや規制当局の指定や指令をバーチャル・コンストラクション・ツインに接続し、購買、物流、建設の据え付けを仮想的にテストできます。また、プロジェクト全体のエンドツーエンドの効率を促進します。

ガル氏は次のように述べています。「バーチャルツインは、『建設前に建設を確約』することを目的としています。つまり、想定されるすべてのイレギュラーを修正し、実際に建設可能なモデルを構築することで、現場でのミスを避けることができます。完成済みの設計を実行することで、完全性に疑問の余地がなくなります」

ブイグ・コンストラクション社は、3DEXPERIENCEのCATIAアプリケーションを15,000人のユーザーから成るチーム全体にわたって展開を進めています。同社は、ダッソー・システムズのパートナー、Beam3社およびImpararia社と協力して、プラットフォームを構成し、建設に関するあらゆるナレッジを設計、施工、ビジネス・ルールを備えたバーチャル・テンプレートに集約しています。

同社は、CATIAの強力なパラメトリック機能、モジュール機能、製品テンプレート自動化を利用して、複雑なカスタム設計を管理しています。また、設計者が他の設計ソリューションで作成した構想モデルを容易に接続することができるため、各プロジェクトの意図がそのまま忠実に伝えられています。

ガル氏は次のように述べています。「CATIAでビジネス・ルールを確立し、ニーズに合わせて設定を変更、作業を高速化および自動化できます。アーキテクトがプロジェクトで中心的な役割を果たし続けることが、私たちの目的です。CATIAにより、お客様が要望する建築を必要に応じてカスタマイズし、生産性の高い工業メソッドによって実現できます」

長期的な戦略

3DEXPERIENCEプラットフォームは、ブイグ・コンストラクション社が自社の将来と業界の仕事の方法を再定義するために役立っています。バリューチェーンのすべての関係者を結び付け、さらに複雑で野心的なプロジェクトに取り込む力を強化しています。

「設計から施工段階、運用・保守段階に至るまで、建設プロジェクトに関連するすべてのデータをプラットフォームに集約し、貴重なデジタルな連続性を実現しています」とガル氏は述べています。

ブイグ・コンストラクション社とダッソー・システムズが使う人のために技術を活かすことを考えたことが、このプロジェクトの成功要因です。

「このプラットフォームのおかげで、ビジネスの最新化という目標を達成し、独自性と複雑さが増すプロジェクトで当社のお客様をサポートできました」とゴダイノ氏は述べ、次のように続けています。「機会をつかみ、メリットを測定し、プロジェクトを成功させることができるかどうかは、私たち全員の肩にかかっています」

Bouygues Construction logo

ブイグ・コンストラクション社

世界60ヵ国で事業を展開する、建設業界のグローバル企業である同社は、建築、インフラ、産業プロジェクトの設計、建設、運営を行っています。ブイグ・コンストラクション社は、持続可能な建設に取り組み、役割を果たすリーダーとして、イノベーションを付加価値を生み出す主な原動力に位置付けています。「イノベーションの共有」により、お客様にメリットをもたらし、58,700人以上の従業員の生産性と労働条件に改善をもたらしています。

詳しい情報: https://www.bouygues-construction.com

Beam3 logo

Beam3社

Beam3社は、3DEXPERIENCEプラットフォームをベースとして、最適なデジタルプロジェクト管理・設計(BIM)ツールを建設業界に提供しています。同社は、建築・建設・土地管理セクターの企業にサポートとトレーニングを提供し、建築業界のグローバルな発展の鍵を握り、すべての人々にメリットをもたらす、次世代のBIMツールの活用を支援しています。Beam3社は、3DEXPERIENCEプラットフォームをベースにして、建物や都市の未来を定義する、最も効率的なアプローチを顧客に提供しています。

Impararia社について

航空宇宙・防衛産業を基盤とする同社は、アーキテクチャ、エンジニアリング、建設業界向けバーチャル設計・施工、建築情報モデル、製品ライフサイクル管理の大手企業です。同社は革新的なビジネス・プロセスおよび技術を提供し、建設関連の最大の課題を解決し、最高水準で制作する支援を企業に提供しています。