未来のエネルギー

エネルギーのデジタル化

必要なとき、必要な場所で、どうやって電力を得るか?

中国やインドなど、新興国の経済成長により、人類全体のエネルギー消費量は2030年までに少なくとも50%増加します。大規模な成長の多くは、以前は電気供給のなかった離れた地域で起こっています。それと同時に、これまで人類が頼ってきた資源は乏しくなっています。その結果、人類にとって新たなエネルギー源と、新しい送電方法の確保が急務となっています。

このレースの目的は、再生可能エネルギーを見つけ、最大化し、さらにその電力を蓄積する新しい方法を作り出して、曇りの日や風が吹かない日でも、電力を使えるようにすることです。この目標の達成には、スマート・グリッドは不可欠です。スマート・グリッドは、ソフトウェア、センサー、電子メーター、インターネットを使って情報を管理し、電源の供給と需要をより効率よく管理し、必要なときに必要な場所で供給します。

以下のビデオ、記事、インフォグラフィックは、エネルギー業界が世界に電力を供給する方法を変えるために経ている大きな変革を取り上げています。こうした移行は重要であり、電力を作り、測定し、販売し、消費し、管理し、保存し、取引し、送電する私たちと大きく関わっています。この点で、スマート・グリッドはどのような役割を果たすのでしょうか?エネルギーを作り出して提供する方法について再考している企業がより効率的にコラボレーションを行い、技術革新する上で、3Dエクスペリエンス・プラットフォームがどれだけ役に立つでしょうか?

ソーラー時代の到来?

2035年、熱帯地方や世界中の砂漠では、巨大なソーラー集光アンテナが太陽のエネルギーを集めて発電し、電力網へ送って、新たな完全無線送電を展開しています。また、日没後、夜間の発電を可能にするだけのエネルギーも蓄積されています。

数百万の家庭やオフィスでは、安くて効率の良いソーラー・パネルや発電用ウィンドウが、日中、小規模な発電を行っています。人々が運転するのはAudi、BMW、トヨタ、ホンダなどの主要メーカーが2010年代に開発したゼロ・エミッション車で、太陽エネルギーを使用して廃水を水素と酸素に分解することで作られた水素燃料で走ります。夜になると、星々の中の新たな閃光が目に入ります。軌道上を巡る巨大なソーラー集光アンテナが、宇宙空間の無限の陽光の中で24時間電気を生み出し、それをマクロ波やレーザービームを介して地上の巨大なレセプターへと送ります。

これは夢物語でしょうか?いいえ違います。太陽光発電の発想と、それが地球における主要エネルギー源となる可能性は、気候変動や化石燃料の枯渇の脅威が叫ばれる以前から存在していました。最初の太陽電池は1883年に開発されました。また、アイザック・アシモフは、1941年に出版した『Reason(理性)』の中で、マクロ波ビームを使って大量の太陽光エネルギーを地上に送る宇宙ステーションを描いています。米国の科学者、Peter Glaser氏は、1968年、アシモフの夢を実現する計画を立てましたが、当時の技術的な制限が障害となりました。

しかし、ソーラー発電社会のためのテクノロジーは現在も存在し、世界の太陽光発電では日の当たる地域から日光の少ない地域への長距離送電の問題を克服できない、あるいは暗くなっても発電を継続できるストレージ・ソリューションが見つからないという批判を和らげつつあります。

例えば、中国はすでに、急成長する太陽光発電所から広大な領土全体に電力を送るための高電圧線網を建設しています。2015年の最初の3か月間だけで、このアジアの大国は5ギガワットの太陽光による電力を電力網に加えましたが、これはフランスなど、ヨーロッパ主要国における太陽光発電の全供給量に匹敵します。

世界中ですでに利用されているストレージ・ソリューションでも、2通りの手法の効果が明確に示されています。その1つは、太陽光電力を使用して融解塩を作り出し、その熱保持性質により、夜間に発電タービンを駆動する動力を提供するというものです。一方、他の太陽光発電所では、太陽光を使用してガスを圧縮し、暗くなったらそれを放出してタービンを回します。

上を向こう

太陽が沈んだ後の発電の問題に対するより急進的な回答の1つが、未だ開発されていない場所、つまり宇宙へ目を向けることです。中国と日本が2030年までに計画している宇宙太陽光発電(SBSP)ステーションは、それまでのこの種のプロジェクトを矮小化してしまうでしょう。「商業的に実現可能な宇宙発電ステーションは非常に巨大なものとなり、ソーラー・パネルのサイズは5〜6平方キロメートルとなるでしょう」と、中国科学院のWang Xiji氏は説明します。

しかし、なぜ発電ステーションを宇宙に建設するのでしょうか?最大の理由は、宇宙で得られる高レベルの太陽放射を利用して、24時間発電を行うことです。地上では、大気による反射と吸収により、エネルギーの60%が失われています。「宇宙ベースのソーラー・パネルは、地上に設置された同じパネルに比べて10倍の電気を発電できます」と、中国の宇宙エンジニア、Duan Baoyan氏は指摘します。

SBSPには大きな課題があります。非常に強力なビームによって地球表面の特定地域が焼かれる危険を回避するためには、正確な照射技術が必要となります。「マイクロ波によって送電する場合、最大の課題は、地上の受信サイトにピンポイントで電気を送り届ける方法です。36,000 kmの高度から直径3 kmの平面にマイクロ波を伝達することは、針の穴に糸を通すようなものです」と、日本のJAXAに所属するYasuyuki Fukumoto氏は語ります。

日本の清水建設は、月の11,000kmの赤道の周囲に、幅400kmの太陽電池のベルトを建設するという、より大胆なSBSP計画を提案しています。ルナリングと呼ぶこのプロジェクトでは、世界中の需要を満たすエネルギーを一瞬のうちにビームとして送り返します。

他の課題としては、宇宙空間の厳しい環境でのシステム・メンテナンスやSBSPステーションの軌道への乗せ方があります。商業的に実現可能な宇宙発電ステーションは、1万トン以上の大きさになることが予想されますが、現在のロケット技術では100トン以上の積載は不可能です。

SBSPステーションの建設は大きな課題である一方、1960年代、人類の宇宙空間への初の冒険で直面した問題も繰り返されています。人類を宇宙空間へと送りだすことに多くの人々が疑問を呈する一方で、こうした課題を克服したことによる技術的、知識的な成果は、現代社会でも引き続き影響を及ぼしています。

地上での制御

しかしSBSPステーションが技術を新たな限界まで高める夢のフロンティアをもたらす一方で、可能性の鍵となるのは地上での開発です。実際、地表には人類が必要とする以上に十分な太陽エネルギーが到達していますが、それらは大気によって弱められています。英国のエネルギー専門家が公表する「2015グローバル・アポロ計画」では、太陽は、人類が現在使用している5000倍のエネルギーを地球の表面に提供していることが示されています。

その上、太陽光電力の価格は年々安くなっています。ソーラー・パネルの価格は25年前の20分の1となる一方、発電効率は向上しています。現在のシリコン製パネルは、受け取る太陽エネルギーの20%を電気に変えていますが(これは初期パネルの3倍に相当)、ガリウムヒ素(シリコン以上に効率的な伝導体)などの合金を使用した新しいパネルはさらなる向上が可能です。ただし、反射によるエネルギー損失や素材の伝導率(ショックレー・クワイサーの限界)などの要因により、ソーラー・パネルの効率性には固有の物理的限界も存在しています。

ならばなぜ、太陽光発電は現在、世界中の電力需要のわずか1%しか供給できていないのでしょうか?一番の障壁は技術的なものでなく、「グローバル・アポロ計画」およびMITの2015 レポート「The Future of Solar Energy(太陽光エネルギーの未来)」などによると、化石燃料を扱う巨大企業の既得権が関わる政治的な思惑や、正しい投資の欠如と考えられます。これらのレポートには、巨額の世界的補助金によって化石燃料から生み出される電力の本当のコストがどれほど不明瞭になっているか、また環境や健康上の被害のコストが無視されているかが示されています。

世界的なソフトウェア企業であるダッソー・システムズのエネルギー・プロセス産業担当バイス・プレジデント、Stéphane Decléeは、政治、行政、技術分野の各プレイヤー間の食い違いについて、別の理由を指摘しています。

「弊社のお客様も、変化する規制および要件を受け入れる必要があります。3Dエクスペリエンス・プラットフォームを使用することで、太陽光発電業界のプレイヤーは、自分たちのソリューションの多機能性と安全性を、規制担当者から金融関係者、地域コミュニティからメディアまで、あらゆる関係者に示すことができます。

もう1つの課題は、「太陽光などの断続的な再生可能エネルギー源の共有が増える中では、発電が大量需要の時代に必ずしもマッチしなくなる」ことだと、Decléeは指摘します。Decléeによると、その解決策とは、断続的な供給とより柔軟な需要とのバランスをとれるスマート・グリッドのような、需要をより正確に制御するシステムを開発して、例えば再生可能エネルギーの一部を、後で利用できるよう備蓄することです。

実例

中国や日本などの国々が実施するプロジェクトに加え、多くの企業が、エネルギーを作り出して蓄積する、より効率的でコスト効果の高い方法を見つける革新的なプログラムに取り組んでいます。アリゾナにある巨大なSolanaプラントは、集光型太陽熱発電(CSP)施設であり、太陽光の未来の可能性を示しています。3,000個の巨大な鏡が砂漠の太陽光を集めて、超高温の水蒸気を発生させ、巨大なタービンを回して、7万世帯に供給可能な電力を作りだします。しかもSolanaには、融解塩で満たされた巨大なタンクがあります。日中、そこに十分な熱を貯め、日没後6時間、タービンを最高出力で動かします。2018年にはCSPプラントの数が世界中で倍増しても不思議ではありません。

太陽光社会にとって、より小規模な技術の発展も重要です。新たな透明ポリマー太陽電池(PSC)は、太陽光は通過させ、赤外線のみを吸収して発電する「ソーラー・ウィンドウ」を実現します。「我が社のPSCは、軽量かつ柔軟で、低コストで大量生産が可能です」と、PSCを開発したUCLAチームのリーダー、Yang Yang氏は語ります。「ソーラー・ウィンドウは、大変革をもたらすアイデアです」

輸送においても、状況は変化しています。2015年には、超軽量のソーラー・インパルスが太陽光エネルギーだけで世界一周に飛び立っていますが、メインストリームの航空業界では、燃料の水素を作るための太陽の利用に注目が集まっています。太陽光が作る水素を燃料とする電気自動車は、すでに走っていて、その印象的な姿を現しています。ドイツのFraunhofer Institute for Solar Energy Systemsのディレクター、Eicke Weber氏は、ソーラー式水素ポンプで5分間充電するだけで300km走行可能な電気自動車に乗っています。

既存のテクノロジーは太陽光の未来の道筋をすでに切り拓いており、宇宙ステーションでは優秀なエンジニアたちが技術的な領域を宇宙へと拡大しています。私たちにとって必要なのは、エネルギー革命に太陽の光が当たるように、政治的および経済的な優先順位が変化することです。

そして、点をつなぎ、未来がもたらす明確なビジョンを作るダッソー・システムズのような企業によって、太陽光発電社会という夢もすぐに実現するでしょう。

ビデオ、インフォグラフィック、記事がbbc.com上で広告特集として公開されました。それらはダッソー・システムズのパートナーであるBBC Advertising Commercial Productionによって作成されました。