バイオインテリジェンス

あなたの仮想双子は、いつかあなたの命を救うか?

バイオインテリジェンスを利用した、生命システムの物理モデルから仮想モデルまで

スロバキアでは、ある若い男性が、転倒によって頭蓋骨の3分の1を失ってから9年後に、車いすから立ちあがり、社会復帰を果たしました。この奇跡のきっかけは、生命科学分野のエンジニアが、彼の頭蓋骨の3Dプリント・モデルを使って完全適合するインプラントを設計、作成し、それが脳に対する圧力を緩和したことでした。テキサスでは、体の一部が結合した双子の赤ん坊が、胸腔と共有臓器の完全な3Dモデルを利用して綿密に計画された30時間に及ぶ手術を受けた後、健康で独立した人生を歩み始めました。ロンドンでは、心臓に修復が不可能と思われる程度の穴が空いていると診断された2歳の女子が、3Dプリント・モデルとその穴を閉じるパッチを使用したことで、今では元気に食事をし、笑い、成長しています。

世界中の医療チームが、3Dモデリングを使用して、患者の生体構造の正確なモデルを作成しています。その結果、各医療チームは、複雑な外科手術を計画し、リハーサルを行い、生命を維持するインプラントや個々の患者専用の人口装具を作成することが可能となっています。これはすばらしい進歩であり、致命的な病気やケガを負った患者の生命に大きなインパクトを与えています。

しかし、これは氷山の一角にすぎません。21世紀の医療および医療ケアにおける本当の進化は、こうした物理モデルではなく、仮想モデルから生まれます。仮想モデルは、いつか人間の生理学や病態生理学、さらには個々の患者の病態のシミュレーションを可能にし、怪我や病気の研究、診断、処置の方法を根本から変えることになるでしょう。

バイオインテリジェンスの夜明けにようこそ

空からヒントを得る医療

バイオインテリジェンスが医療機器・医薬品分野で、モデリング、シミュレーションおよび製品ライフサイクル管理のプロセスを実現

あなたの仮想の双子は遠い未来の夢かもしれませんが、その夢を実現するための取り組みは、バイオインテリジェンスという新しい分野としてすでに始まっています。バイオインテリジェンス(「コンピューター内医療」「コンピューター化医療」とも呼ばれる)は、コンピューター技術を利用して、生物学的医学的プロセスを仮想環境(コンピューター内で)でモデル化し、シミュレーションし、試験します。

バイオインテリジェンスは、仮想環境(コンピューター内で)で生物学的および医学的プロセスを正確にモデル化し、シミュレートし、視覚化することを目指しています。

バイオインテリジェンスからの発想は、航空機などの複合製造産業においても見られます。新型飛行機を開発するための膨大なコストと複雑さにより、航空宇宙業界ではかなり前から、飛行機の設計および製造において多専門的で組織横断的なアプローチを採用しています。

同業界では、複雑なシステムの動作を理解および予測するために、仮想モデリングとシミュレーションによる物理プロトタイプとテストの進化にも取り組んでもいます。こうしたコラボレーション・アプローチと仮想テクノロジーを利用することで、技術革新が加速し、製造タイムラインが劇的に短縮し、材料の浪費が減り、製造、組み立て、メンテナンスにおける問題を、実際の製造に入るはるか以前に仮想空間で見つけて、効率的に対処可能になりました。

3Dエクスペリエンス・プラットフォームのデモ

薬品メーカーも、仮想タンパク質や化合物をモデル化し、医療データベースに対してスクリーニングする一方で、薬品開発や製造では現実社会に深く根差し、専門分野や組織間のコラボレーションは非常に制限されてきました。

薬品メーカーは、日々、単独であくせく働き続けて実際の薬品を造り出し、実験動物を使って試験してから、現実の患者に実際の臨床試験で試験しています。そのため、彼らが費やす時間と費用は膨大になります。現在、薬品メーカーが新しい薬品を市場に投入するまでには、29億ドルの費用と10年の歳月が必要であると試算されています(Tufts大学医薬品開発研究センター)。

こうした課題に加えて生命体の膨大なダイナミズムと複雑さにより、仮想モデリングやシミュレーションを併用する研究開発のコラボレーション・アプローチは、医療機器・医薬品業界にも多大な恩恵をもたらすことが明らかになっています。

科学的専門分野間のコラボレーション、医薬品会社、研究所、医療サービス・プロバイダー、コンピューター企業間のコラボレーションにより、インサイトやイノベーションを生み出すためのナレッジや経験の共有が可能になりました。
コンピューター・モデルとシミュレーションの併用により、研究者は、複雑なシステムを理解し、各種医療および治療措置の生物学的効果を正確に予測できるようになります。さらに、医薬品メーカーは、実際の分析試料を調整し、実際にその薬品を生産する前に、治療効果を下げる要素を一掃できます。
つまり、こうした変化は、他の業界においても見られるような、効率、効果、安全性における技術革新や進歩を生み出します。コラボレーションによって生み出されたモデルとシミュレーションに個々の患者から得られた実際のデータが注入されることで、こうしたアプローチは、完全にパーソナル化された医療への扉を開きます。

新たな薬品を市場化するには、10年の歳月と29億ドルの費用がかかります。

Tufts大学医薬品開発研究センター

近い将来、仮想臨床試験で仮想患者に対し、仮想薬品を試験する日がやってくるのでしょうか?

現在は土台作りが進行中

分子から細胞、臓器、臓器系、身体全体へと仮想化を進めるには時間がかかり、さらには個別の化学物質、生物学的物質、素材物質に加え、複雑な生体系のモデリングとシミュレーションも必要になります。しかし、こうした取り組みはすでに始まっています。

医療機器・医薬品分野でバイオインテリジェンス・テクノロジーと専門性を進化させるため、官民一体となったバイオインテリジェンス・コンソーシアムは、2009年以来、コラボレーション、デジタル・モデリングとシミュレーション、工業部門ではすでに導入済みの製品ライフサイクル管理(PLM)システムを医薬品および医療機器メーカーで実現すべく取り組んできました。ダッソー・システムズが主導するこのコンソーシアムには、業界パートナー(Bayer CropScience、Ipsen、Pierre Fabre、Sanofi、Servier)、バイオSMBの専門企業(Sobios、Aureus Pharma)、さらに公的研究機関(Génopole、INRIA、INSERM)も参加しています。

こうした共同作業の結果は、ダッソー・システムズがBIOVIA BioPLMアプリケーションによって開発したデザイン・トゥ・キュア・ソリューションに現れています。このソリューションは、上記の課題に対応し、医薬品研究および開発プロセスの効率および効果を向上することを目的として開発されました。このソリューションを利用する製薬研究者およびグローバル・エコシステムはグローバルな科学技術コラボレーション、科学技術コンテンツ連盟およびセマンティック検索、仮想モデリング、予測シミュレーションを通じて、すばやく効率的に新薬を開発して、対象を絞った新しい治療方法の成功率を高めることができます。

バイオインテリジェンス・エクスペリエンス・デイのリプレイ

ご挨拶とご紹介
Patrick Johnson
ダッソー・システムズ、R&Dコーポレート・リサーチVP

G5 Santéとの壮大な研究開発プロジェクト
Bertrand Parmentier
Pierre Fabre Group、CEO

3Dエクスペリエンス・プラットフォーム & BIOVIA
Max Carnecchia
ダッソー・システムズ、BIOVIA CEO

BioPLMのデモンストレーション
Nicolas Froloff
BIOVIA BioPLM R&D 医療機器・医薬品部門ディレクター、3DS

科学者の展望
Martin Karplus
ノーベル賞受賞者

欧州の展望
Philippe De Backer
欧州議会

3Dエクスペリエンス・プラットフォーム:イノベーションを再考する
ダッソー・システムズCEO、ベルナール・シャーレス

ベスト・オブ・
バイオインテリジェンス

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デジタル化とコラボレーションを利用したR&D

デジタル化とコラボレーションを利用したR&D:医薬品業界の新たなビジョン

エンタープライズ・イノベーション、2015-08-31

「PLM企業は、医薬品業界の縦割り型の性質とR&D活動の絶対的な複雑さから、この業界を有望な市場ととらえています」記事を読む

膨大なライフサイエンス・データとの格闘

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R & D Magazine、2015/08/10

「ビッグ・データは科学分野でも注目を集めています。この種のデータ・セットは膨大かつ複雑で、従来のデータ処理アプリケーションでは不十分です。これはライフサイエンス業界にも当てはまり、増大するデータ・サイズは、これまでこの種のデータの分析、解釈を行っていたツールでは処理しきれず、いわゆる「データの雪崩現象」が発生しています」記事を読む

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ガートナー:「PLM医療機器・医薬品市場の要望に応えるダッソー・システムズのBIOVIA」

「ダッソー・システムズが、医療機器や医薬品メーカーのR&Dおよび製品開発ニーズに応える医療機器・医薬品の製品の広範ポートフォリオを揃えている点についてはほぼ疑問の余地はないでしょう。BIOVIAは、医薬およびバイオテクノロジー企業や学術研究機関を対象として、R&Dの分野に大きなインパクトをもたらしました。いずれ、BIOVIAとその顧客は、動物や人間を対象とした患者固有の医療、処置、治療へと広がる、仮想モデルを開発することになるでしょう」レポートを読む