Oct 28 2013

大阪大学大学院歯学研究科、ダッソー・システムズ社のSOLIDWORKSアプリケーションを歯科用インプラントデザインの検証に採用

SolidWorks Premiumが応力影響の迅速な解析と可視化に大きく寄与

ソリッドワークス・ジャパン株式会社(本社:東京都品川区)は本日、大阪大学大学院歯学研究科・歯科理工学教室(大阪府吹田市)が、人工歯根(歯科用インプラント)の形状差異が歯の周囲組織に及ぼす影響の解析に「SolidWorks Premium」を活用したことを発表しました。同教室は、インプラントデザインの力学的影響を世界で初めて部品別、構成要素別に評価・可視化し、歯学領域での世界最先端のバイオメカニクス(生体工学)研究の進展に貢献しました。SolidWorks Premiumは、直感的なユーザーインターフェース、高精度のデータ変換機能、モデリングから解析までの時間短縮などにより、応力影響の迅速な解析ならびに可視化に大きく寄与しました。

インプラントデザインの力学的解析は、世界中の研究者、歯科医師、インプラントメーカーから注目されています。「たとえば、高齢者が長生きするようになって『歯が割れる』という問題がクローズアップされています。むし歯、歯周病に次ぐ、第3の歯の病。バイオメカニクスは、こうした現象を解明することで、予防・診断・治療をより効果的に進めることのできる基礎系研究として大きく期待されているのです」(顎口腔機能再建学講座・歯科理工学教室・今里聡教授)

大阪大学大学院歯学研究科・歯科理工学教室は、バイオメカニクスをはじめ幅広い領域で研究に取り組み、顎口腔組織の再建と機能回復のための新材料、新技術の開発を進めています。同教室の山口哲講師は、研究テーマの一つである歯科用インプラントにおいて、「インプラントのデザイン形状の差異によって周囲骨に及ぼす応力が異なり、それが骨吸収注1に影響するのではないか」という仮説を立て、その検証を開始しました。

従来の2次元解析では、非常に簡略化されたインプラントモデルしか扱えず、現実のインプラント構成やデザインに即した評価や高精度解析には3次元モデルの作成が不可欠でした。そこで山口先生は、いくつかの試行錯誤を経て、インプラント製品をノギスで測り、ISOやJISの規格データと照合したうえでSolidWorksに入力し、3次元モデルを作成する方法をとりました。また日本人の平均的な顎形状を参考に下顎のSolidWorksモデルも作成しました。これらをベースに、応力や歪みなど様々な要素を解析した結果、インプラントのデザインによって周囲骨の応力分布が大きく異なることを画像で示すことができ、骨吸収のリスクが低い優れたデザインの検証も可能となりました。本研究成果は、山口先生が指導した大学院生の山西康文氏の学位研究の一部として、歯科材料学分野で世界的に著名な英文雑誌「Dental Materials」に論文掲載されました。

山口先生は次のように述べています。「ダッソー・システムズのSolidWorksアプリケーションはユーザーインターフェースが優れており、直感的な操作で、3次元モデル作成から解析まで一気に到達できます。このツールのおかげで、インプラントの構成要素ごとの影響を比較し、アバットメント注2の変位量を評価することが可能になりました。これはきわめて画期的なことです。またそれ以上に大切なのは、解析にかける手間が減った分、解析結果を検討し、考えを深める時間を確保できたことです。どのようなデザインが患者さんのためになるのか、指標を提示するための道も見えてきました」

ダッソー・システムズ株式会社ならびにソリッドワークス・ジャパン株式会社代表取締役社長の鍛治屋清二は次のように述べています。「大阪大学歯学部歯科理工学教室様では、SolidWorksの活用によりインプラントの構成要素ごとの応力影響の可視化に成功されました。今後もSolidWorks Simulationを活用して疲労や熱伝播の解析にもチャレンジなさるとのこと。SolidWorksアプリケーションがバイオメカニクス分野でも活用され、これらの現象解明や基礎研究分野に貢献していることを、大変うれしく心強く思います」とコメントしています。


注1:
骨吸収:インプラント施術を行った歯根の周囲の骨がやせてしまう現象。歯科用インプラントは、失ってしまった歯根のかわりに顎の骨に埋め込み、人工の歯の土台とする金属製の装置。チタン製のものが多く、周囲の骨と結合して上部の人工の歯をがっちりと支える。ところが周囲の骨が痩せてしまう「骨吸収」現象が起きると、インプラントそのものが不安定になり、抜けてしまうことがある。

注2:
アバットメント:歯科用インプラントを構成する部品の一つ。